「好き放題曲を作って、わがままを貫き通す時は、付いてきてくれてるメンバーに対して圧倒的なものを作り続けないといけない」(TK from 凛として時雨)
音楽の最深部に光を当てることで、気づかなかった魅力が輝きだす。音楽を嗜好品のように味わう、最深音楽コンテンツ『FUKA/BORI』。谷中敦(東京スカパラダイスオーケストラ)がホストを担当し、音楽が生まれた裏側にあった物語、その音楽を生んだミュージシャンを作った音楽を、ゲストアーティスト自身が掘り下げていく、この番組。DIG 8となる1月10日公開の『FUKA/BORI』に登場したアーティストは、TK from 凛として時雨。SIDE Bでは、自身の影響を受けた楽曲について深掘り。
■音楽のルーツ TK from 凛として時雨 音楽の原点
“音楽のルーツ”というテーマから始まり、「かなり小さい頃、無理やりピアノを習わされた記憶があって。音楽と触れたのはそれが初めてだったんですが…」と、幼少時の思い出を語り始めたTK。「その後、中学校ぐらいになって。家に弦のさびたアコースティックギターがあって。何となしにそれを触り始めたのが、自分から動いたって意味では、初めてかもしれないですね」と、自身の音楽ルーツについて話す。
「結構、フォークも好きでしたし。J-POPも姉の影響ですごく聴いてて。歌本みたいなので最初は練習したり。歌うのも結構、好きだったんですが、歌よりギターに意識がいくようになって。高校の時に初めてエレキギターを買って、始めたという感じでした」と、エレキギターを手にした経緯について話すと、「エレキギターを買ってもらってからは、一心不乱にコピーをやってました。カラオケみたいなのをダウンロードして、それに合わせてギターを弾く。“このバンドが好き”というよりは、“ギターが弾きたい”という気持ちが強かったので。ギターがカッコいい音楽を聴いてました」と当時の練習方法を語る。
■LUNA SEA「TRUE BLUE」
「ギターがカッコいい音楽って、どういう音楽ですか?」という谷中の質問に、「友達から『LUNA SEAっていうバンドがいて、「TRUE BLUE」って曲がカッコいいんだよ』と教えてくれて。友達が音楽を教えてくれるというのが初めてだったし、すごく衝撃的だったんです」と、自身が影響を受けた曲を上げたTK。「そこで“このギターの音なんだろう?”とか、“このフレーズは今まで聴いたことないな”というのがあって。いま思えば全然、コピー出来てないんですけど。「TRUE BLUE」は最初に始めるのに、押さえやすいコードでスタートできる楽曲で。クオリティは違えど、ものすごい早弾きの曲というよりは、見よう見まねで何とかコピーが出来る曲だったんです」とその理由を語った。
初めてのバンド経験については、「田舎に住んでたので、アメリカのインディーバンドみたいに、大きい倉庫があって『周りが畑だから、練習できるよ』みたいな子がいて(笑)。『ちょっとやろうよ』みたいな感じで始めて、『とにかく音を合わせるだけでも楽しい!』みたいな感じでした」と話し、「最初に人前で演奏したのって覚えてますか?」という質問には、「公民館で弾いたのを覚えてます。発表会みたいな感じのライブだったんですが。僕は調子に乗って、ジェルで髪上げてました(笑)」と照れくさそうに思い出を語った。
■歌との出会い
“歌との出会い”というテーマではボーカリストになった経緯を話し、「自分が表現したいものが、自分が歌うことで完成するというのが、どこかにあったのかも知れないですね」と自身を分析したTK。現在のボーカルスタイルに至る経緯については、「最初に作った曲が「鮮やかな殺人」という曲なんですけど。
当時はいまより、1オクターブ下で歌ってました。自分の声のキーもあまり考えたことがなくて、とりあえず自分の歌をそこにはめていたんですけど、初めてリハーサルに入った時、ものすごい狭くて音響の環境も良くないところで、自分はギタリストで来てるんでギャンギャン出したいし、ものすごく中音が大きくて。その中で歌おうとしても全然、歌が聞こえなくて、“じゃあ、1オクターブ上げよう”と思ったのが、時雨のスタイルが確立された時なんですかね。今思うとですけど」と振り返った。
■ボーカリストとしてのTK
また、“ボーカリストとしてのTK”というテーマでは、「とにかく自分は“歌が歌えない”ってコンプレックスが強くて」と衝撃告白。「僕は元々が高い地声成分ではなくて、グッと上げてるんで、負荷がかかってしまって。やっぱり自分の一番の弱点は歌だなというのがあるんです」と、その理由を語ると、「ただ、聴いてる人は“そこが強みだよ”と言ってくれるので、自分が輝ける場所があるとするなら、そこを乗り越えた場所だと思うし。自分自身も興奮しないって、どこかで気づいてて。曲を作ってる時に、“こうしたら歌いやすい”とかあるんですけど、それをやっても何も感じないんです。それで結局、『こっちの方がカッコいいだろうな』と言って、リハーサルで死ぬっていう感じです(笑)」と、自身の考えや楽曲制作秘話を明かした。
■”凛として時雨” と “TK”
凛として時雨について話した番組後半、「バンドってやっぱ不思議ですよね。自分の中では家族みたいなプレイヤーではあるんですけど、それと同時に一番のリスナーというのがあって。僕が作った曲を2人に聞かせる時、僕の音楽をすごい楽しみにしてくれてる感じが、20年経っても変わっていないというか。でもだからこそ、僕は好き放題、曲を作ってますけど。わがままを貫き通す時は、付いてきてくれてるメンバーに対して圧倒的なものを作り続けないといけないとも思ってるんです」と、楽曲を制作する上で最も大事にしていることを語ったTK。
「最終的にはファンの人とか、今まで聴いたことのない人に届けたいって思いはあるんですけど。まずはメンバーが刺激を受けたり、これを演奏してみたいと思ってくれるかどうか? というのが、最も大事な条件としてある。そこが馴れ合いになって、『TKが作ってきた曲がいまいちだけど、新曲だからやろう』になっちゃうと、モチベーションがどんどん下がっていっちゃう気がするんです。だから、まずは自分が興奮するもの。同じように2人に興奮してもらえる曲を作るというのは、ずっと続けてます」と、フロントマンとしての覚悟と責任を語った。
■音楽家としての人生
最後に「音楽家だからという前に、人間である以上、いつ何があるかわからない。だとしても、自分は音楽というもので自分が生きてきた証が残せるっていうのは、ものすごく幸せなことだと思っているんで。いま自分が目の前で向き合っているものが最後の作品になったとしても、その人生が最高だったものになれるように、今まで以上にすごく意識はしています」と音楽人生を語り、番組を締めくくったTK。詳しい内容はYouTubeの『FUKA/BORI』チャンネルをチェックして欲しい。
『FUKA/BORI』
https://www.youtube.com/playlist?list=PLi1F8vriz0_WL3yKBwFfP68Mkx7f8Y4KV
『THE FIRST TIMES』OFFICIAL YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCmm95wqa5BDKdpiXHUL1W6Q
TK from 凛として時雨 OFFICIAL SITE
https://tkofficial.jp/s/n150/?ima=4138
谷中 敦 OFFICIAL Twitter
https://twitter.com/a_yanaka