*高地優吾の「高」は、はしごだかが正式表記
■なんとも潔いタイトル
耳に飛び込んできたのは、目の覚めるような鮮烈な歌声──。SixTONES 3rdアルバム『声』が1月4日にリリースされる。
アルバム情報解禁の直前に、ちょっとしたハプニングが起こった。SixTONESのオフィシャルサイトで視聴音源の不具合が発生したのは11月12日のこと。メンバーのボーカルだけが抜けてしまう現象が起こった。声のない音源を前に、リスナーはInstrumentalを楽しみ、復旧する過程では慣れ親しんだ歌声に新たな発見もあった。メンバーカラーの丸が6つ揃う喜び、そして“代替不可”な6人の歌声には再び心が揺さぶられた。11月15日、復旧の知らせと共に届いたのはライブツアー『SixTONES LIVE TOUR 2023 慣声の法則』の発表、そして3rdアルバム『声』のリリースだった。
SixTONESのアルバムは、2021年1月に『1ST』、2022年1月『CITY』と順調に作品を重ねてきた。2023年は『声』と、なんとも潔いタイトルを打ち出した。ジャケット写真に映るは黒のワントーンで揃えた6人の姿。彼らがよく纏う色ではあるが、ジャケ写としては思いのほかシンプルだ。黒には色の濃淡に加えて、レザーやベルベットなどの素材特有の光沢もあれば反対に光を吸い込むようなマットな黒。ニットの柔らかい黒やシルクの繊細な黒…同じ色でも様々な表情を持つ。そんな色のバリエーションのように、3rdアルバム『声』は様々なジャンルの音楽と6人の声色で精巧に、そして鮮やかに彩られている。
■SixTONES 3rdアルバム『声』
1曲目「Overture -VOICE-」の衝撃。わずか1分14秒の世界からは彼らの本作にかける想い、意思が伝わってきた。続くは「Boom-Pow-Wow!」。“歓声が消えた時代だからこそ、今届けたいLIVEアンセム”の一文と共に、12月9日にYouTubeにて先行公開された。その場をクラブフロアに変えてしまうパーティーチューンで、無数のスポットライトを浴びながら“俺らのアンセム”と歌う。一人ひとりにフォーカスした、SixTONESの名刺代わりのような楽曲だ。
発表時にタイトルの字面からして存在感を放った「人人人」。セルフライナーノーツで松村北斗が“赤裸々”と紹介したように、リリックを含め、いつもとは違う角度からSixTONESが愛おしくなる。
惑わせるようなイントロで一気に世界へと引き込み、グラデーションするようにメンバーの歌声がチェンジする「Risky」。「Chillin’ with you」は年齢を重ねたからこそ歌える世界観。“no more”が“飲もう”にも聴こえるダブルミーニングなフレーズも。2人だけの秘密の時間が広がる。そして軽快な音で進行する「SUBWAY DREAMS」。彼らはいつも“主人公”だよと背中を押してくれる、SixTONESならではの、爽やかで前向きなエールソング。YouTube限定配信された「PARTY PEOPLE」は、2022年の夏を彩ったサマーダンスチューン。アルバムに組み込まれると全体に馴染みながらスパイスのように存在感を放つ。「Good Luck!」「ふたり」「共鳴」「わたし」などのシングル曲、それもドラマの主題歌やCMソングと彼らの活動の軌跡も収められている。そんな様々なジャンルの楽曲を束ね、包み込むように存在する「Always」。本編のラストを飾るに相応しい、希望を与えてくれる透明感のある歌声がいつまでも胸に残る。
■3形態ごとに異なる限定曲が魅力
『声』は通常盤、初回盤A・Bの3形態でリリースされる。通常盤には「Cat Call」「オンガク -声ver.-」「Again」の3曲を収録。中でもパブリックイメージとのギャップを与えるのが「Cat Call」。始まりからは想像のつかない展開もユニークで、SixTONESのかわいらしい声がいつまでも耳に残るありそうでなかったジャンル。
初回盤A収録曲は「Need you」と「STAMP IT」。「Need you」は伸びやかで清々しいサウンドが印象的だがそれとは対照的に未練が残る歌詞とのコントラスト。サビへとつなぐ森本慎太郎のパートは甘さと寂しさを纏った声の印象を残す。続く「STAMP IT」では6人のドラマチックな歌声が光り、まるで映画を観ているかのようだ。初回盤Bはメンバーがペアを組み、個性的なユニット曲が3曲収録されている。
透明感もあればソリッド感もある声で、音の高低をなんなく辿る松村北斗。内面から滲み出る自信を感じる力強いボーカルの高地優吾。蜜のような甘さと優しさ、強さ…感情たっぷりに歌い上げる森本慎太郎。SixTONESの音楽を印象づけるRAPを担う田中樹。リズム感とエッヂ、バラエティに富んだフロウで聴かせる。楽曲の世界観を忠実に再現する京本大我。自在に操る歌声には説得力と引力が宿る。柔らかさとド迫力のコントラスト、時には包容力に溢れる繊細な歌声で包み込むジェシー。『声』は楽曲ごとに個性あふれる6人の歌声でリスナーを迎えてくれる。
CDデビューからもうすぐ丸3年。『声』というタイトルにふさわしく、様々な声が聴こえてきた。非日常感もあればリアル、彼らの知られざる一面に触れるような世界観と楽曲も個性豊かだ。ラジオでの発言やセルフライナーノーツからアルバムに対しての自信や手ごたえ、熱が伝わってきたように、表現の幅が広がり深みが増したSixTONESの声がたっぷりと詰め込まれている。ジャケ写のクールな雰囲気とは対照的に、実に鮮やかなラインナップだ。
■SixTONESの『声』から始まる2023年
さて、視聴音源に声が戻った11月15日には、もうひとつ戻ってきたものがある。コロナ禍に定められたコンサートのガイドラインが緩和され、不織布マスク着用の上で会話レベルの声量での歓声だ。彼らの声に声で、笑いに笑いで返せる喜び。もうライブMCで笑い声を抑えなくても良いのだ。SixTONESの『声』から始まる2023年。今年もSixTONESの歌声はもちろん、話し声そして6人の笑い声がたくさん聴ける一年になることを願う。
TEXT BY 柚月裕実
リリース情報
2023.01.04 ON SALE
ALBUM『声』
SixTONES OFFICIAL SITE
https://www.sixtones.jp