■「最初にいただいたキャラクターの設定では、話す口調ももっとワイルドだったんです。でも、私のほうから言葉遣いや物腰を、ものすごく丁寧に礼儀正しい男にしたいと提案しました」(吉川晃司)
連続テレビ小説『舞いあがれ!』に出演中の吉川晃司。このたび、自身が演じる航空学校の鬼教官・大河内守について語るインタビューが到着した。
大河内守は、航空学校・帯広校の教官。航空自衛隊の戦闘機パイロットとして活躍したが、30代半ばで地上勤務にシフトした折、航空学校からの誘いがあり教官職に就いた。学生たちからは鬼教官として恐れられ、ヒロインの舞やエリート学生の柏木がいる班の担当教官として、着陸が下手な舞を厳しく指導する。
容赦なく学生をフェイル(退学)させると言われており、舞にはなかなか理解してもらえないが、そこには大河内なりの人生哲学がある――というキャラクターだ。
■吉川晃司 コメント
Q1.『舞いあがれ!』に出演することが決まったときのお気持ちは?
最初オファーをいただいたときは驚きましたね。どういう経緯でキャスティングされたのだろう? と。 “朝ドラ”の「朝の顔」に私だとちょっと暑苦しいでしょう? というか、顔はしょうゆ顔だけど、なんか圧が強いでしょう。圧がありすぎて不向きなんじゃないかなと。そうしたら、まさにその“威圧感”を求められて いると。パイロットを目指す若い学生たちの前に立ちはだかる壁、妖怪でいう“ぬりかべ”のような存在でいてほしいとお話をいただき、なるほどと。私は肩幅も広いし、壁には良いかもと納得しましたね(笑)。私は実は早起きで、ふだんから朝5時には起きています。今回の“朝ドラ”の撮影では3時半か4時起きです。朝ごはんも6時台で植木の手入れは欠かさずしていますね。寝るのも早く夜10時、遅くとも11時です。ロックをやってエレキギターを弾いている以外は、基本的な生活はおじいちゃんなんです(笑)。Q2.ご自身の役柄についての印象や、役のここに注目してほしいという点などを教えてください。
大河内は、訓練生に鬼教官と恐れられている男ですが、それは若者たちにしっかりした人生を歩んでもらいたいという思いがあり、愛があるゆえの厳しさみたいなことだと思います。最初にいただいたキャラクターの設定では、話す口調ももっとワイルドだったんです。でも、私のほうから言葉遣いや物腰を、ものすごく丁寧に礼儀正しい男にしたいと提案しました。口調も態度も丁寧すぎて逆に怖いという人がいるでしょう。そういう狙いですね。また、大河内は何か武道をしていた男だったんだろうと、自分の中で裏設定として決めています。空を飛ぶ前は坐禅を組んで精神統一をしていたり。私自身、鎌倉幕府や江戸幕府の指南役を務めてきた「弓馬術礼法小笠原流」を数年前から学んでいまして、そうした所作を入れたりもしています。なので少し時代劇のような動きにも見えると思うんですが、それによって威圧感が増して、より怖い印象が強くなっているんじゃないでしょうか。Q3.収録に参加されてみて、現場の印象はいかがですか?
福原遥さんは、すごく芯がしっかりしていると思います。お芝居もうまいですし。(水島祐樹役の)佐野弘樹くんとは、撮影の合間に人生についていろいろ話したのですが、今の若い世代は本当にしっかりしています。飛行機を操縦するシーンでは、実際に乗りながらお芝居するのですが、学生たちはまだ操縦が下手な設定なので、本当に機体がグラグラと揺れているなかで演じないといけないんです。そんな過酷な状況でもきちんと演技をしているので感心します。鬼教官の役ですが、共演者の皆さんに本当に嫌われないように、本番前のリハーサルでは、笑わせるように努力していますよ(笑)。Q4.放送を楽しみにしている視聴者の方々へ見どころやメッセージをお願いします。
やはり空のシーンですね。ドキュメンタリーであれば、これまでアフリカやブラジル、ペルーなどいろいろな国に行きましたけど、空を飛びながら芝居をするというのは初めての経験です。他の飛行機もたくさん飛んでいて、旅客機の無線も全部入ってくるなかでお芝居するのは難しいです(笑)。セリフを言おうと思ったら、旅客機のパイロットと管制とのやりとりが入ってくることもありました。実は高所恐怖症なんですが、空まで行くともう諦めています(笑)。
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