■「フリースタイルでバトルや!」(岡崎体育)「自分でいうのも何やけど……俺やで?」(R-指定)
11月11日から23日まで開催される『Sony Park展 KYOTO』を記念して、展示プログラムに参加している岡崎体育とCreepy Nutsによる『前夜祭ライブ 岡崎体育×Creepy Nuts』が11月10日に開催。
両アーティストのライブを心待ちにした観客で満員のロームシアター京都サウスホールで、一夜限りの貴重なライブパフォーマンスが繰り広げられた。
なお、ライブ本番の様子の一部を、Sony Park公式YouTubeチャンネルのアーカイブから視聴できる。
■ライブレポート
2021年夏にGinza Sony Parkにて開催され、オンライン含めのべ100万人を超える体験者が参加し、好評のうちに幕を閉じたSony Park展。ソニーが取り組んでいる「ゲーム」「音楽」「映画」「エレクトロニクス」「半導体」「ファイナンス」の6つの分野を、「社交場」「旅」「森」「ストリート」「SF」「詩」という6つの言葉で変換し、そのイメージを6組のアーティストが「表現」として形にするこのプロジェクトが、11月11日から23日まで、京都新聞ビル地下1階と、ロームシアター京都の2ヵ所にて『Sony Park展 KYOTO』として開催される。
そして、この企画展のプログラムのなかで「『ゲームは、社交場だ。』with 岡崎体育」を手掛けた岡崎体育と、「エレクトロニクスは、ストリートだ。』with Creepy Nuts」を手掛けたCreepy Nutsの2組が登場する、完全招待制ライブ『前夜祭ライブ 岡崎体育×Creepy Nuts』が11月10日、ロームシアター京都、サウスホールにて行われた。
抽選に当選したオーディエンスが集った本公演は、岡崎体育のライブからスタート。ボーカルの中心にラップをおいた「Championship」など、この日の対バン相手であるCreepyNutsのお株を奪うようなパフォーマンスで、会場の熱気を一気に高める。
続くMCでは「Creepy Nutsと対バンするのは1年半ぶりぐらいかな。めちゃくちゃ良いからね、Creepy Nutsは」と、対バン相手へのリスペクトを言葉にする岡崎。そのまま「コロナ禍でもみんなで楽しめように作った」という、曲に合わせてハンドクラップで会場が一体となる「フランスパンゲーム」に続き、少年野球でのエラーが宇宙の存在の否定に繋がり、変なあだ名を付けられたことがなぜか長野県への苦言に繋がるという、岡崎体育らしいヒネリの効いた未発表曲「宇宙と長野」を披露。「ボツかと思ってたけど、反応が良かったからリリースしようかな」と制作への意欲を見せた。
そしてフェスでも定番となっている「なにをやってもあかんわ」、会場全体でフリを揃えた「おっさん」と、定番曲から新機軸までタイトな曲数の中でも岡崎節を形にし、最後は「岡崎体育、いつか紅白歌合戦に出ます!」と宣言し、ステージをあとにした。
会場が暗転すると、ステージにはDJセットが運び込まれ、DJのDJ松永とラッパーのR-指定が登場。R-指定の「Sony Park、盛り上がれますか!」というシャウトから、「合法的トビ方ノススメ」、歌詞に『岡崎の地元』という言葉を折り込みエクスクルーシブに聞かせた「よふかしのうた」と、代表曲を惜しみなく披露していく。
MCでは「岡崎さんはなんでもできるよな、ミュージシャンとして尊敬する」とR-指定が話せば、DJ松永も「全部自分ひとりでアウトプットできるのは本当にすごい」と、こちらも対バン相手への尊敬を言葉にし、また岡崎体育がブレイクするキッカケとなった「MUSIC VIDEO」のMVへの出演経緯についてなど、縁の深さを感じさせるトークを展開。
「印刷工場の跡地も『Sony Park展 KYOTO』の会場になる。同じように、皆さんも僕らも、もうひとつの顔を持っているはずです」というアナウンスから「2way nice guy」、そして「かつて天才だった俺たちへ」とテンポよくライブを進めていくCreepy Nuts。最後は「明日から、ここから楽しみしろがある!」という言葉に続いて「のびしろ」を披露し、充実したライブを終えた。
そしてアンコールでCreepy Nutsがステージに戻りMCを始めると、「待て待て待て!」と吉本新喜劇的なアプローチで乱入する岡崎体育。そして岡崎の「フリースタイルでバトルや!」という言葉に、MCバトルの猛者として名を上げたR-指定も思わず「自分でいうのも何やけど……俺やで?」と返す。
そしてDJ松永のビートに合わせてR-指定はフリースタイルを岡崎にぶつけるが、岡崎は自身の楽曲「Voice Of Heart」を前夜祭用にアレンジした、“心の声”という力技で対抗し、会場は笑いに包まれる。和気あいあいとした肩肘の張らない、しかし密度のしっかりと濃いライブを見せ、最後は仲良く揃ってステージをあとにした3人。そしてスクリーンには『Sony Park展 KYOTO』を内覧する3人の姿が映し出され、翌日から行われる展覧会への期待を高め、ステージは幕を下ろした。
TEXT BY 高木”JET“晋一郎
PHOTO BY Hiroya Brian Nakano
■岡崎体育 コメント
Q:今日のライブはいかがでしたか?
A:ソニー・ミュージックと言うレーベルに所属できている事は、自分にとってはすごく誇りなことで、その会社のプロジェクトに関わり、そしてその前夜祭ライブが自分の地元でできるのは、すごく嬉しいことですね。そして、そのライブがメジャーデビュー前からつながりのあるCreepy Nutsと一緒に対バンという形だったのは、 何より嬉しいことでした。 僕の「MUSIC VIDEO」のMVに(2016年04月発表)、初対面なのに「仲の良いアーティスト」として出てもらった時からの縁だし、このままおじいちゃんになるまで一緒に活動ができたら嬉しいですね。Q:Creepy Nutsとのコラボはいかがでしたか?
A:お互いの得意な部分をぶつけ合うという、僕とCreepy Nutsの関係性だからできたコラボだと思いますね。結局は茶番なんですが(笑)、でもそれを僕らはもちろん、観ているみなさんにも楽しんでもらえてよかったですね。僕個人のライブも、Creepy Nutsと一緒のライブということで、僕もラップ曲を多めに入れたり、普段とは違う試みができたと思います。Q:京都出身の岡崎さんにとって、京都でのライブはどんな印象がありますか?
A:やっぱり地元でのライブは気合が入りますね。特に京都でのライブは、お客さんが僕がどれだけ成長しているのかを見極めているような感触があるので、ちゃんと成長を見せられるライブを見せられるようにと、身が引き締まります。Q:Sony Park展 KYOTOの見どころは?
A:僕の人生にはずっと身近に「プレイステーション」があったんですね。1人でも、友達ともプレステを楽しんできたし、自分の音楽にはゲームミュージックが多大な影響を与えている。だから、ゲームをテーマにしたプログラムに関わることができたことは、自分にとって誇りです。この展示では、ゲームの映像や内容、ハード自体の進化に加えて、ソニーという会社が発信してきたゲームのもつ「一貫性」みたいなものを表現できたらと思っていたし、それを感じ取って貰えれば嬉しいですね。■DJ松永(Creepy Nuts) コメント
Q:今日のライブはいかがでしたか?
A:温かかったですね。岡崎さんのファンの方もみんな盛り上がってくれたし、すごく優しかった。お互いにソニー・ミュージックでメジャーデビューする前からの仲というのもあってか、岡崎さんとの対バンは本当に楽しいし、やりやすい。Q:京都でのライブにはどんな印象がありますか?
A:僕らも岡崎さんも呼んで貰っているフェス「京都大作戦」が印象に強いですね。Creepyとしての単独ライブは京都では随分やってなくて、それこそ、すごく小さいライブハウスとか、クラブでやってた時代に遡るんですよね。だから、その街で岡崎さんと対バンライブができるのは嬉しいことです。Q:岡崎体育さんとのコラボはいかがでしたか?
A:Rのラップも僕のビートも、完全にフリに使われて、もはや岡崎劇場の劇団員でしたよね、Creepy Nutsは(笑)。あの豪腕に持っていかれました(笑)。Q:Sony Park展 KYOTOの見どころは?
A:Ginza Sony Parkのときは、1アーティストごとに時期をずらしての展示だったから、それぞれのファンがそれぞれのアーティストのプログラムを観に行くパターンもあったと思うんです。だけど今回は2会場ですべてのプログラムを同じ時期に観られるようになっていて、Sonyの歴史や取り組みも並行してわかるような内容になっているので、アーティストを横断したり、技術や歴史からアーティストに興味を持ったり、逆にアーティストからSonyの取り組みに興味を持つような、一つの入口からいろんな方向に進める展示になっていると思うし、僕も楽しめましたね。■R-指定(Creepy Nuts) コメント
Q:今日のライブはいかがでしたか?
A:自分たちのライブ自体にはもちろん手応えがあるんですが、会場の雰囲気やステージ上のLED照明やライトの感じで、どんな風に今回のライブが見えていたのかも、映像で楽しみたいと思ってます。そういった部分でも、すごく立体的なライブになったんじゃないかなと。Q:岡崎体育さんとのコラボはいかがでしたか?
A:ほんまに岡崎さんはすごいなぁ……としみじみ思いましたね。コラボレーションでのウケの取り方も含めて(笑)。岡崎さんと僕らはほぼ同期といってもいいぐらい、活動時期が近いんですけど、岡崎さんの「MUSIC VIDEO」や、僕らの「メジャーデビュー指南」のように、お互いにメタな視点を持ってることも共通してると思うんですね。でもそこに留まるのではなく、ちゃんとグッドミュージックを作りたい、心に届く曲を作りたいと思っている部分にもシンパシーを感じています。Q:このプロジェクトに連動した「韻ふみコラム」の手応えは?
A:京都っぽいワードをもとに、どんな韻が踏めるかという無茶振りですよ(笑)。でも、そのおかげで自分では普段は出ないような韻が形になりましたね。Q:Sony Park展 KYOTOの見どころは?
A:使われなくなった印刷工場をぶち抜いて再利用するっていうロケーションとシチュエーションがまずメチャクチャ格好いいですね。そして全てのプログラムが2箇所に集まってるからこそ、いろんな視点で楽しむことができるようになってるんじゃないかなって。自分の興味があるものに集中してもいいし、そこから寄り道したり道草を食ったりしながら、新しい興味を広げていったり、自分の好奇心を刺激することができるような展覧会になっていると思いますね。
『Sony Park展 KYOTO』イベントサイト
https://www.sonypark.com/sonyparktenkyoto/
岡崎体育 OFFICIAL SITE
https://okazakitaiiku.com/
Creepy Nuts OFFICIAL SITE
https://creepynuts.com/