■1日に数曲ずつ、ていねいに収録された坂本龍一の演奏を、十分な時間をかけて編集
12月11日、坂本龍一のピアノソロコンサートが、世界に向けて配信される。
日付が1日ちがうだけの2年前、すなわち2020年の12月12日、コロナ禍の、視界不良のトンネルをさまよっていた世界に向けて、坂本は、東京のスタジオで、無観客のピアノソロコンサートを行った。ライブストリーミングされたその映像は、しかし、アーカイブ化されることはなかった。ことしの12月11日の配信は、それゆえ、2年ぶりに私たちのまえに帰還した「演奏する坂本龍一」の姿を、私たちに見せることになる。
その日に私たちが視聴するのは、前もって、1日に数曲ずつ、ていねいに収録された演奏とその映像を、十分な時間をかけて編集したものになるという。
「ライブでコンサートをやりきる体力がない――。この形式での演奏を見ていただくのは、これが最後になるかもしれない」と、坂本は語る。
前にはできたことがいまはできなくなっているという「現実」を、そのようなものとしてそのまま受け容れ、呑み込んだうえで、坂本はその「あたらしい現実」に立脚して、みずからのあらたな能動性と積極性を、引き出そうとしているのではないか。
じっさい、今回の「コンサート」は、それを可能とする条件をそなえている。ひとつには、今回の演奏スタジオが、NHK の、伝説の509スタジオである、という事実。坂本が臆せず、「日本でいちばんいいスタジオ」と折り紙をつける東京・渋谷の、NHK放送センターの509スタジオで、十分な時間をかけて演奏が収録されている。
そしてもうひとつには、これを機会に、主要メンバーをニューヨークから招集した映画制作チームが結成され、かれらは、たんに配信映像をつくるためだけでなく、のちに別に編集する予定の「コンサート映画」のためにも、「演奏する坂本龍一」を丹念に撮影している。いずれも、「ライブでコンサートをやりきる体力」が坂本にあったとすれば、現実化しなかったことにちがいない。
配信は、約60分の509スタジオでのパフォーマンス本編からなる。
また配信と同日、全2回、109シネマズのプレミアムサウンドシアター「SAION」でライブビューイングも開催される。そこでは、最上の音で、坂本龍一の演奏を楽しむことができるであろう。
TEXT BY 鈴木正文
■プレミアムサウンドシアター「SAION」でライブビューイングも同時開催
配信と同日に12時~、18時~の全2回、ライブビューイングを開催。各回限定214席。「SAION」でしか体験できない最上の音をサラウンドで演奏を楽しめる。ライブビューイングチケットを購入した人には、配信コンサートを2,000円(税込)で購入することができるお得なクーポンを発行。ライブビューイングチケットは、10月25日18時より販売が開始となる。
配信情報
Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2022
初回配信:12/11(日)12:00〜(日本時間)
<配信時間>
1. 12/11(日)12:00〜(日本時間)
2. 12/11(日)18:00〜(日本時間)
3. 12/11(日)24:00〜(日本時間)
4. 12/12(月)06:00〜(日本時間)
*全4回、同内容。1枚の配信チケットで、1.~4.の各配信時間の視聴が可能(最大4回)。
【ライブビューイング】
会場:109シネマズグランベリーパーク プレミアムサウンドシアター「SAION」
1. 12/11(日)12:00~(14:00頃終了予定)
2. 12/11(日)18:00~(20:00頃終了予定)
特設サイト
https://special.musicslash.jp/sakamoto2022/
commmons WEB
https://commmons.com/index.html