2016年のクリスマスイブの結成から約5年半。2022年2月末には新メンバー8名が加入し、総勢14名となった22/7(ナナブンノニジュウニ/通称:ナナニジ)が、前作からは約半年ぶり、新体制初となるニューシングル「曇り空の向こうは晴れている」をリリースする。
今回、取材を受けてくれたのは、アニメの主人公も務めたグループのオリジナルメンバーである西條和、新メンバーとして加入した麻丘真央と望月りのの3名。インタビュー前の撮影は、新メンバーが加わり、これまでにないほど明るく楽しい雰囲気となり、西條も笑顔を見せている。何が彼女を変えたのか。新たなスタートを切ったばかりの22/7の現状を直撃した。
INTERVIEW & TEXT BY 永堀アツオ
PHOTO BY 大橋祐希
■ちょっとでも“希望”があることが珍しいなって
──まず、新体制がスタートした心境から聞かせてください。
西條和(以下、西條):今までは何かが変わるごとに不安の方が大きかったんです。でも、新メンバーが入ってきて、最初のツアーがあって。バタバタしていたはずではあるんですけど、いちばん不安がなかったライブだったんです。不安とともに生きている私にとっては、ちょっとでも“希望”があることが珍しいなって思いながら迎えている感じです。
望月りの(以下、望月):(西條の顔を見つめながら)うれしいです!
──あははは。西條さんがこんなにずっと笑顔でいることに驚いてます。
望月:和さんは笑顔がいちばんかわいいですからね!!
■22/7のことを知れば知るほど、すごくいいグループだなって
──おふたりは新メンバーとして加入して、今、どんな気持ちでいますか。
麻丘真央(以下、麻丘):私はもともとアイドルが好きで、いろんなグループを見てきて。もちろん、憧れもあったんですけど、アイドルというのは裏では恐いのかなと思っていたんです。でも、このグループに入って、本当に先輩方がいい方たちばかりで。接するたびに、尊敬できるところがいくつも出てくるし、先輩方から気を遣って、いろいろと声をかけてくださって。本当に一つひとつのことが優しくて、アイドルってこんなに優しい方たちがいるんだっていう驚きから始まっています。それから、22/7のことを知れば知るほど、すごくいいグループだなって思って。もちろん、メンバーではあるんですけど、自分がファンだったら、絶対にこのグループを応援したいなって思えるくらい、素敵なグループだなってことに気がついて。そんなグループに入って、今、メンバーとして活動できていることが毎日、幸せで。和さんとも楽しく話せるようになったし、私、ナナニジでよかったなって、今、すごく思ってます。
■先輩たちの5年間を絶対に汚したくない
望月:私は小さい頃からアイドルになることが夢だったんですけど、ナナニジに加入して、その夢を叶えることができて。本当に幸せな気持ちでいっぱいなんですけど、アイドルって、思っていたより、裏ではすごく努力をしているんだなって気づく部分が多くて。表で見ていたギャップも大きかったので、大変だったこともあるんですけど、ナナニジは先輩方が作ってくださったものですし、先輩たちの5年間を絶対に汚したくないなと思っていて。新メンバーが加入したことで、もっともっとナナニジを大きくできる存在になりたいなって思っています。願わくば、ナナニジを誰もが知る国民的アイドルにしたいと思っています。
──ふたりは西條さんから見て、どんなメンバーですか。紹介してもらえますか。
西條:真央ちゃんは本当に綺麗で、運動をやっていたっていうのもあって。
麻丘:フェンシングをやってました!今もやってます。
西條:だから、最初は“こんなところに来ていただいていいんだろうか…”って思っていたくらいだったんですけど(笑)、本当に22/7になろうとしてくれていて。あと、もともと綺麗な顔立ちの人って恐いっていうイメージが拭えなくて。
望月:わかります、ちょっと(笑)。
西條:恐かったらどうしようと思ってたんですけど、そんなことなくて。ずっとニコニコしているので。
麻丘:ぬふふふふ。
望月:笑い方!
西條:(笑)人当たりが良くてよかったなって思ってます。
麻丘:私は22/7にいるとき、普段の、素の自分と変わらない自分でいるんですけど、素の自分でいられるのは、先輩方が作ってくださっている優しい雰囲気のおかげです。ありがとうございますっていう感じです。
西條:こんなに綺麗なのに全然飾ってないし、裏表が全くなくて。本当に飾らない人って感じですね。りのちゃんは、私にいちばん最初に声をかけてくれた人です。私、顔出しをする前から、レッスン場の隅にいて、最初はカーテンに隠れてて。カーテンから脱出はしたところだったんですけど(笑)、メンバーとはちょっと離れたところにいて。ドアがバタバタ閉まる横にいるんですけど、りのちゃんがバーって駆け寄ってきてくれて。誰にでも話しかける明るい子なんだなって思ってたんですけど、実は過去のラジオやショールームまで遡って調べてくれていて。「和さん、これ苦手でしたよね」とか、ちゃんと私の性格を知ったうえで話しかけてくれたので安心しました。
──西條さんの心のドアを自ら開けに行ったんですね。
望月:和さんは、自分からはいかないけど、話しかけてもらうことはうれしいっていうのは知ってて。私がアタックしたら仲良くなれるんじゃないかっていう思いで、めちゃくちゃ話しかけてます!1回、一緒に駅まで帰りましたよね。
──西條さんはいつもひとりで来て、ひとりで帰ってましたよ。
望月:いや、ひとりにしちゃダメだと思うんですよ。危ないじゃないですか。だから、なるべく誰かといてほしいし、できたら自分がいたいなと思ってます。あはははは。
■まだまだ知らない部分がたくさんある
──古参の言い方ですね(笑)。おふたりから西條さんはどう見えてますか。
望月:天使です!誰にも汚してほしくない無添加少女です。
麻丘:あはははは。そのネーミングよね。
望月:でも、ライブ中のパフォーマンスがすごくカッコよくて。そこにギャップ萌えしてしまうし、やっぱり22/7のエースだなって思います!私は和さんがいないと22/7は絶対に成り立たないと思うし、和さんのパフォーマンスが大好きです。
麻丘:今まで出会ったことのない雰囲気を持っている方ですね。最近は普通におしゃべりできるようになって、なんとなくわかってきたんですけど、まだまだ知らない部分がたくさんあるので、これからもっと仲良くなりたいです。
──グループの雰囲気が変わりましたよね。
西條:変わったと思います。私が個人的にだいぶ変わったかもしれない。新メンバーに「喋ってくれるんですね」って言われることが多いんです(笑)。これまではあまり喋ってこなかったので、新メンバーの力でしかないなって思います。最近、「よく笑うようになったね」って言われます。
──撮影中の雰囲気からもう違っていましたよね。以前はみんなもっと静かな印象でした。
西條:メンバーのソロ撮影中の様子をスマホで撮るっていう行為を初めてしましたし、手を繋いでくれたり、コケそうになったら助けてくれたりして。私はずっといたグループではあるんですけど、新鮮な感じですね。
■過去を知ったうえで、今を知ってもらうと、きっと面白い
──第二章はどんなグループになっていきそうですか。
西條:新メンバーはみんな明るいんですけど、ただ奔放に明るいだけじゃないんですね。例えば、レッスン中に、ちょっとわかってない人がいたら、新メンバー同士ですぐに教えてあげたりしていて。それがまだ入って1〜2ヵ月とかだったんです。自分が入ったばかりのことを振り返ると、自分にいっぱいいっぱいな時期だったなと思って。新メンバーは人を気遣える心の広さが大きいなって思います。私は本当に自分のことしか見えてなかったので、ちょっと視野が広い、みんなに寄り添ってあげられる人たちだなと思いながら見てます。
望月:22/7にはちょっとダークなイメージがあったと思うんです。だから、加入当初は、悪くいうと、(新メンバーを)「うるさい」って言われてしまうこともあったんですけど、今はそういう捉え方もされてないなと思ってて。ファンの方々も、新メンバーが、22/7をいい方向に進めてくれる人たちっていう認識をしてくれるようになったし、第二章はいい方向に向かってるのかなと思います。
麻丘:新メンバーは明るくておしゃべりな人が多くて。それもいいと思うんですけど、ただただ騒いでるだけじゃない。もともとあった雰囲気に明るさが足されることによって、他のグループにはない変わった雰囲気が出てると思うんですよ。だから、今、22/7を知らない方たちに知ってもらえたら、ちょっと気になってもらえるんじゃないかと思いますし、少しでも多くの方の目に触れてもらう機会を増やせたら、もっともっと大きいグループになれるんだろうなと思います。
望月:あと、22/7は過去を知ったうえで、今を知ってもらうと、きっと面白いなと思いました。
■はっちゃけた明るさじゃないのが22/7
──新曲「曇り空の向こうは晴れている」はまさに過去を振り返りつつ、未来に目が向いていますよね。歌詞にはこれまでのダークなムードがありつつも、サウンド的には明るさがあって。
麻丘:ただただ明るいだけじゃなくて、なんとなく切なさも感じるところが好きです。明るい方向が、夏の明るさというよりは、春風の明るさみたいな。はっちゃけた明るさじゃないのが22/7だなと思います。
望月:無理やり“明るくなってよ”っていう感じじゃないですよね。“そんな強くなんてなれないよね/だから 今はそのままでいいから…”っていう和さんのセリフにあるように、ちょっと寄り添いながら、今のままで大丈夫って言ってくれてる。優しく勇気づけるような曲になっている気がして。あとは、22/7の今までからここで成長してる感じがして。22/7のコンセプトって無限の…。
麻丘:割り切れない無限の可能性ね。
望月:そう!割り切れない無限の可能性!!ずっとダークで悩み続ける主人公というよりかは、今、ここから前を向いて、また新しい22/7に繋げていくというスタートの歌としてすごく合ってるなと思います。どんどん変わっていく22/7は、これからどうなっていくんだろうってワクワクしてもらえるんじゃないかなと思っています。
西條:やっぱり、新メンバーが入ってきてくれなかったら歌えなかった曲だなと思います。
望月:(西條の顔を覗き込みながら笑顔で)はい!
西條:ふふふ。それこそ私が新メンバーのみんなが入ってきて、ちょっと笑えるようになったりしたように、これから何年間か活動を続けていくにあたって、新メンバーのみんなが、かつての私たちみたいに苦しいなって思ったりすることがもしかしたらあるかもしれない。そういうときに、私たち──もといたメンバーが背中を押せたらいいなって。そういう存在になれるように頑張ろうって思わされた曲でした。
■グループがちゃんと暗闇にいる人を助けられる曲でありたい
──歌詞はどう捉えましたか。“死にたかった 死ななくてよかった”というサビは衝撃的ですよね。
麻丘:最初のほうはずっと悩んで考えてて。サビになると、解決っていうほど明るい感じではないんですけど、今のままの自分でいいんだなって気づいたというか、受け入れていて。だから、踊ってるときも、1サビと最後のサビは同じ歌詞なんですけど、最後のほうが笑顔で踊ってて。これは個人的になんですけど、この曲を通して、笑顔が増えていくイメージなんですね。最初はつらいって言ってたけど、最後は死ななくてよかったっていちばんの笑顔で終われるような。1曲の中でも成長を見せれたらいいなって思ってます。
望月:私は“死にたいこと 時々あるよね/もうすべてを終わりにしたいと願った”という歌詞に共感しました。仕事とか、学校とか、部活とか、受験とか。何かに頑張って生きている人は誰でも、つまづいたときに一度は胸によぎったことがあると思うんですよ。だから、いろんな方の心に刺さる歌詞だなって思ったし、自分自身にもグサグサってきて。でも、この主人公は最後、死ななくてよかったと思えて、希望を見つけていく。それを他の人にも伝えていこうっていう歌詞なので、私たちグループがちゃんと暗闇にいる人を助けられる曲でありたいなと思いました。
西條:新メンバーが入ってきて、変わらなきゃって、自分でも意識したところもあるんです。新メンバーが入ってきて、変われた部分もあるんですけど、だからと言って、そんな騒ぐようになったりしたわけではないし。
■“変える”というよりは“加える”
──性格がまるっきり正反対になったわけじゃないですもんね。
西條:そうですね。急に“毎日、楽しい!”ってなったわけでもないんですけど(笑)、この歌詞を見ると、そのままでもいいんだなって思えて。それに、やっぱり“死ななくてよかった”って言っているように、グループにとってしんどかったときに、私たちも諦めなくてよかったなって思ったんですね。だから、すべてを変えるというよりは、今までの22/7も、今までの自分も受け入れつつ、新しいことも吸収しながら少しずつ、“変える”というよりは“加える”という形で、グループがいい方向に向かっていけばいいなって思えた歌詞でした。
──西條さんが最初に“希望”と口にしていたことが印象に残ってます。新メンバーが希望なんですね。
麻丘:(望月を見つつ)「希望ちゃん」だからね。
望月:私、(麻丘)真央と、(宮瀬)玲奈さんと(白沢)かなえさんに「希望ちゃん」って言われてて。私「(希望っていうのは、)人から人へ繋げて行くものなんだ」っていうセリフを言ってるんですけど、その前のセリフを言っているメンバーに「希望ちゃん」って言われてて。
麻丘:dance videoを撮ったときに「希望」ちゃんって言われるようになって。本当に希望!っていう感じでこのセリフを言うんですよ。
──dance videoも撮影してるんですね。
麻丘:そうなんです。初めてライブじゃない場所でメンバー全員で踊ったんですけど、dance videoを撮るってなると緊張感が違いました。1回1回、カメラが回ったときの重みがあって。いつものライブよりも緊張したんですけど、お客さんがいない前で全力で踊るのも初めてだったのでなんか面白かったです。
望月:私、22/7のキャラクターのMVも好きなんですけど、「風は吹いてるか」のdance videoもすごく好きで。いちファンとして、“リアルの方々、絶対に出たほうがいい”ってずっと思ってて。かわいいし、綺麗な方が多いので、顔を出したら絶対にもっと売れる!って思っていたので、dance videoの撮影で、リアルのメンバーで映れる、これはチャンスだって思いました。
西條:私は、dance videoを撮ってたときにモニター映像をパッと見たときに、“人数多っ!”って思いました。
麻丘&望月:あははははは。
西條:これまでは最大でも11人だったので、“多っ!”と思ったのと、その分、ただ並んでいるだけでも迫力が出るし、フィーメーションダンスとしても見栄えがいいなと思いました。あと、楽屋から出るときもマネージャーさんが、「12345…」って人数を数えているのが新鮮でした。増えたんだなって実感しましたね。
■温度が上がったっていう感覚がいちばん大きくて
──今後はどうなっていきますか。14人になった22/7の未来は?
西條:今まで歌ってきた曲を14人で歌ってみたときに、世界観を守りながら、温度が2度くらい上がったような感じがあったんですね。その、温度が上がったっていう感覚がいちばん大きくて。これまで応援してくださっていた方にも飽きられないようにしたいし、新しく知ってくださった方にも22/7の温度を知ってもらえるようにしたい。今までを引き継ぎつつ、新メンバーのみんなの良さも取り入れて、温度だけを上げていきたいなと思っています。
リリース情報
2022.07.27 ON SALE
SINGLE「曇り空の向こうは晴れている」
ライブ情報
ナナニジ夏祭り 2022
7/28(木) Zepp Namba(OSAKA)
7/29(金) Zepp Fukuoka
8/7(日) Zepp Nagoya
8/11(木) KT Zepp Yokohama
プロフィール
22/7
ナナブンノニジュウニ/2016年結成。応募総数10,325人から選ばれた少女たちのアイドルプロジェクト。 「けいおん!」「たまこまーけっと」等で有名な堀口悠紀子氏をはじめ、 アニメ界を代表するトップクリエイターが生み出したキャラクターの声優を務める。 2022年2月27日、新メンバー8名が加入し、 総勢14名の新生22/7として、さらに活動の幅を広げている。
22/7 OFFICIAL SITE
https://www.nanabunnonijyuuni.com