■「20年間、みんなのお陰でここまで連れてきてくれてありがとう。こんなに素敵な景色を見せてくれてありがとう」(TETSUYA)
TETSUYA(L’Arc~en~Ciel)が7月3日、東京・日比谷野外大音楽堂にてソロデビュー20周年記念ライヴ『20th ANNIVERSARY LIVE』を開催した。
野音でライヴを開催するのは、1996年4月にL’Arc-en-Cielで行なったツアー以来。衣装、ステージの装飾、グッズアイテム、そこにはとことん“野外=アウトドア”にこだわりつくしたTETSUYAならではの野音があった。
開演前、TETSUYAの晴れ男パワーが小雨予報をくつがえし、雨はピタリと止んだ。
まだ日差しが差す明るい舞台に中村佳嗣(Gu)、室姫深(Gu)、IKUO(Ba)、山崎慶(Dr)、岸利至(Key)といういつものJuicy-Bananasの面々がオンステージ。最後にTETSUYAが現れ、ライヴは「WHITE OUT ~memory of a color~」で幕開け。シングル用にリアレンジしたヴァージョンでのプレイ、さらにはビッグシルエットのシャツにハーフパンツを合わせた素足が見える衣装で、冒頭から観客は大興奮。
TETSUYAが白いタンバリンを持ち、次に始まったのは「wonderful world」。“この広い空の下”“夏の陽射しに誘われ”という歌詞と現実の光景がシンクロする。開放感たっぷりの空の下で、観客のマラカスペンライトが楽しそうに揺れた「Make a Wish」、そして「READY FOR WARP」「愛されんだぁ I Surrender」と続き、デイライトのなか、時代を経ても変わらない普遍的なメロディで会場を魅了していく。
タオルで汗を拭いながら「TETSUYA&The Juicy-Bananasです。アツはナツいね~」と夏お約束の挨拶をさっそく届けると、客席は笑顔に包まれる。「次の曲は座りながら演奏します」といったあと、ふいにギターを持ち、ドラム台の前にあった切り株に座るTETSUYA。
始まったのはL’Arc-en-Cielの「Perfect Blue」だった。ラルクでもお目にかかれないリゾートテイストなこの曲を、ギターを弾きながら歌うサプライズアクトに、ファンは驚愕。TETSUYAのハーフパンツ姿とこの選曲にラルク初の野外ツアー『1999 GRAND CROSS TOUR』の記憶を重ねた人も多いはず。
客席がそんな余韻に包まれるなか、センターに戻ったTETSUYAは「ARIGATO」「Time goes on ~泡のように~」をのびやかなハイトーンヴォイスで熱唱。野音には照明が灯りだすと、“またひとつ明かりが増えて”と歌う「lonely girl」をドロップし、とびきりドラマティックな空間を目の前に作っていったシーンはひたすら感動的だった。
MCでは、今回から加わったコンサートギアの解説を始めたTETSUYA。まずは「すごくない? これは世界初!」と興奮ぎみに手元のスイッチで色が変わるマイクスタンドを紹介。スタンドを虹色に光らせながら「hyde使ってくれへんかな」というと、観客も大絶賛。
さらに、ギターを弾いたとき使っていたピックについても「僕の手元に蛍がいたの知ってる? ピックが光るんです」と最新ギアであることを伝えた。そして、周りが薄暗さを増してきたところで、ライヴは次の曲「Eureka」へ。
トーチの先端で赤い炎が美しく揺らめくなか、「What is love」を歌い上げる。ラルクが『GRAND CROSS TOUR』で披露して以降、お目にかかれなかったレアバラード登場に、ファンは驚きを隠せないといった様子で驚嘆。色気を含んだ中音域の声からファルセットで囁くように歌う高音まで、TETSUYAは吐息まで繊細にコントロールしながら見事に歌い上げ、観客に深い感動をもたしていった。
その感動に浸る間もなく、TETSUYAが客席に向けてレインボーに輝くスタンドをくるくる回して合図を出し、始まったのは「Roulette」。野音はド派手なライティングに包まれ、観客たちはタオルやマラカスペンライトを振って、カラフルな光を放ち出す。サビで元気よくお立ち台からジャンプをきめたTETSUYAは、ウォーターガンを手に取り、楽しそうに連射。そんな夏ならではの野外の開放感で、ステージと客席がハイテンションな盛り上がりを見せるなか、「I WANNA BE WITH YOU」で本編は終了。
アンコールに呼ばれ、出てきたTETSUYAはヘッドセットをつけ、ベースを持っている。この姿を見た観客は当然のように狂喜乱舞。IKUOがハンドマイクを持ってセンターに構え、TETSUYAが「いっくでー! ぶーんぶんぶんぶーん」とエンジン音を口で再現したところから、ラルクの「Driver’s High」を華やかにパフォーマンスすると、爆発的な盛り上がりが客席を襲う。駆け抜けるようにこの1曲をプレイしたあと、颯爽とその場を立ち去るメンバーたちがめちゃくちゃカッコよかった。これで終われるはずがないという気持ちですぐさまアンコールを求めるクラップが起こる。
暗転した場内。ステージのランタンが灯り、トーチから赤い炎が立ち上がると、再度メンバーが登場。野音の周辺が深い暗闇に包まれたところで、ここからは最新アルバム『STEALTH』から「REGRET」「誰がために鐘は鳴る」「FATE」、死生観を感じさせる奥深いバラード「白いチューリップ」を続け、明るくポップなTETSUYAとコントラストをなす自分を存分に見せつけていった。
このあと3回目のアンコールに応えて、ステージに戻ってきたメンバーたち。TETSUYAが「声出せへんけど楽しんでる? もう20周年ですよ」と感慨深そうにいうと、客席、バンドメンバーから大きな拍手が贈られた。
そうして「しっとりとした曲を」といったあとはTETSUYA屈指のメロディの良さを誇る色褪せないあの名バラード、ラルクの「瞳の住人」へ。ギターのイントロが聴こえてくると、一瞬場内に高揚感が広がったあと、観客全員がTETSUYAの歌にそっと心を重ねていく。
客席は感動の渦に包まれ、鳴り止まない盛大な拍手のなか、TETSUYAは「ありがとう。星が綺麗だね」と伝えた。観客たちが頭上を見上げていると、違うよといいたげな表情を浮かべ「そこそこ」とマラカスペンライトを持つみんなを指差し、そのあと「クサいなぁ」と小声でつぶやき、照れるTETSUYA。
このあと、すべてを吹き飛ばすようにTETSUYAは「いくでー」を何度も連発し、ライヴに欠かせないパーティーチューン「Are you ready to ride?」をアクト。最後は観客がスマホライトで客席に美しい星空を作るなか、「流れ星」をパフォーマンス。終演が近づく名残惜しさと、この曲を夜空の彼方まで届けるように歌っていたTETSUYAの切実なる想いがひしひしと伝わってきて、感涙。温かな感動を胸に刻み、ライヴは幕を閉じた。
演奏が終わったあと、TETSUYAは「20年間、みんなのお陰でここまで連れてきてくれてありがとう。こんなに素敵な景色を見せてくれてありがとう」と感謝の気持ちを伝え「1回しかいわへんからよーく聞いてな」と5月に東京ドームで聞いたようなセリフからひと呼吸おいて、「TETSUYAを好きになってくれて、ありがとー」と叫ぶと、会場からは「ありがとう」を倍返しするように盛大な拍手が贈られた。そうして、TETSUYAはバンドメンバーとともにいつもの電車ごっこスタイルでステージを後にしたのだった。
この日、U-NEXTで独占見放題ライヴ配信された『TETSUYA 20th ANNIVERSARY LIVE』の映像は見逃し配信で7月31日23時59まで楽しむことができる。
TEXT BY Sachie Tojo
PHOTO BY Hideaki Imamoto、Toshikazu Oguruma
■『TETSUYA “20th ANNIVERSARY LIVE”』
2022年7月3日(日)東京・日比谷野外大音楽堂
<セットリスト>
01. WHITE OUT ~memory of a color~
02. wonderful world
03. Make a Wish
04. READY FOR WARP
05. 愛されんだぁ I Surrender
06. Perfect Blue (L’Arc~en~Ciel)
07. ARIGATO
08. Time goes on ~泡のように~
09. lonely girl
10. Eureka
11. What is love (L’Arc~en~Ciel)
12. Roulette
13. I WANNA BE WITH YOU
14. Driver’s High (L’Arc~en~Ciel)
15. REGRET
16. 誰がために鐘は鳴る
17. FATE
18. 白いチューリップ
19. 瞳の住人 (L’Arc~en~Ciel)
20. Are you ready to ride?
21. 流れ星
TETSUYA OFFICIAL SITE
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