崎山蒼志から新曲「I Don’t Wanna Dance In This Squall」が到着!
6月11日に行われた女王蜂主催の対バンツアー『蜜蜂ナイト5 〜五月晴〜』で初披露されたこの曲は、エッジの効いたトラック、ファルセットをメインにしたメロディラインがひとつになったダンスチューン。崎山の創造性が発揮された楽曲に仕上がっている。
現在は澤部渡(スカート)、小林私、折坂悠太、スガ シカオ、SASUKE、佐藤千亜妃、MOROHA、Cody・Lee(李)、Dos Monos、七尾旅人をゲストに招いた対バンツアー、「人間旅行 2022」を開催中。7月30日(土)には『FUJI ROCK FESTIVAL’22』への出演も決定している崎山。彼の奔放な楽曲はこの夏、さらに多くの音楽ファンを魅了するはずだ。
INTERVIEW & TEXT BY 森朋之
PHOTO BY 大橋祐希
■音楽をやってる同い年くらいの友達が増えました
──新曲「I Don’t Wanna Dance In This Squall」、すごいインパクトですね!こんな音楽性もあったのかと驚きました。
いえいえ、そんな。
──今年2月にアルバム『Face To Time Case』をリリース。その後も制作は続いていたんですか?
はい。4月に配信した「A Song」は、ツアーを一緒に回ってくれたバンドメンバーの方々(GOTO/Dr、マーティ・ホロベック/B、大坂孝之介/Key)とセッションっぽい感じで曲のイメージをまとめていきました。他にもいろんな作り方を試しているし、制作は続けてますね。あ、あと、音楽をやってる同い年くらいの友達が増えました。
──よかったです。ジャンルを狭めず、いろんな可能性を試すというやり方は一貫してますよね。
そうですね。自分自身もいろんな音楽、いろんな音に興味があるし、あとはそれをどうまとめて、すり合わせて曲にしていくかを考えて。歌モノだけじゃなく、それ以外の曲もあるので、本当にいろいろですね。
──「I Don’t Wanna Dance In This Squall」は打ち込みのトラックによるダンスチューン。この曲はどんなアイデアから始まったんですか?
最初のインスピレーションは、J-WAVE(東京のFM局)のロビーにいたときに、ディスコっぽい曲が反響して聴こえてきたことですね。なぜかリバーブがかかってて、それが雨のイメージにつながって。プリンスさんの「パープルレイン」も、リバーブが雨っぽい感じにつながってますけど、“雨の音”“ディスコ”みたいなところから曲を作ってみようと思って。
──面白い(笑)。ちなみにプリンスは以前から聴いてました?
ときどき父親が車の中で聴いてました。中学校のときにテレビで追悼番組をやっていて。ライブを観て、「ギターめっちゃ弾くやん!」って衝撃を受けました。
──では、「I Don’t Wanna Dance In This Squall」に話を戻して。これはトラックを先に作ったんですか?
そうです。最初は“ずっと(リズムの)キメだけで一曲作ってみたいな”と思ってたんですけど、リリースするにあたって作り直そうということになって。まずトラックを作って、そのうえにディスコっぽい和音と抑揚のあるメロディを乗せました。
──高音と低音、ふたつのボーカルが入ってますね。
基本、ずっと裏声で歌ってるんですよ。低音の部分はピッチシフター(音程を変えるエフェクター)で作って、オートチューンをかけてます。高音にもモジュレーション系のエフェクターをかけてるんですけど、制作中も楽しかったですね。
──そこまでひとりだけで作ってるんですか?
はい。自分で一通り作ってから音源をD.O.I.さんにミックスしていただいたんですけど、その時点でめっちゃカッコよくなって。本当にありがたいです。
──崎山さんのトラックメイクも向上してますよね。
いや、まだまだです。特にドラムの音だったり、低音がどうしても難しいので、そこを何とかしたくて。moogのアナログシンセを買ったんですけど、それもすごく楽しくて。パソコンの作業よりも、実機を使ったほうが楽しいし、得意なかもしれないですね。機械なんだけど、温かい音がするというか。やっぱり生っぽい音のほうが好きなんだと思います。
■“雨”“ディスコ”のほかに歌詞のもとになったイメージがある
──なるほど。歌詞に関しては?
結構スルッと出てきたんですけど、さっき言った“雨”“ディスコ”のほかに歌詞のもとになったイメージがあって。“リミナルスペース”というインターネットミームがあるんですよ。銀行やショッピングモール、空港など、本来、人が来ることを想定して設計された場所ってあるじゃないですか。そういう場所に人がいない状況のことなんですけど、それがすごく好きで。
──深夜のデパートとか?
そうですそうです。そういう写真が膨大にアップされているんですけど、すごく不思議な感じがあるんですよね。どこか無機質で、今回のジャケット写真もそうなんですよ。
──人がいないコインラインドリーですね。
しかも奥にホテルがあるんですよ。MinecraftやRPGもそうなんですけど、“見えてるんだけど、そこから先に行けない”という場所があると、“この先はどこにつながってるんだろう?”みたいな想像が膨らんでしまうんです。リミナルスペースには“これ、夢で見たことあるな”という気持ちになる写真があるんですよ。小さい頃、自分の家と友達の家がつながってる夢を見たことがあるんですけど、それと同じような感覚になるというか。
──その話、土地の歴史や磁場、パワーをテーマにしたアルバム『Face To Time Case』にもつながってますね。
そういうことに興味があるんでしょうね。ちょっと話が逸れちゃうかもしれないけど、ゾンビ映画とかで、誰もいなくなった場所でカーリー・レイ・ジェプセンとかのヒット曲がラジオから流れてるシーンも好きなんです。
── “誰もいない場所”をテーマにした歌詞なのに、みんなで楽しく踊れそうな曲っていうのも面白いですが。
曲名は“踊りたくない”ですけどね(笑)。ダンスフロアでたくさんの人が踊っていて、自分ひとりだけ踊ってないというイメージもあって。そういう切なさもこの曲のテーマかもしれないですね。ダンスミュージックが大音量でかかっているなかで、気になる人と話したいと思っているというか。
■“どんな人なんだろう”と気になることが多くて
──“僕は君と呼応したいの”というフレーズもあって。
“誰かと話したい”という気持ちがずっとあるんですよね。コミュニケーションは得意じゃないんだけど、“どんな人なんだろう”と気になることが多くて。人に興味があるんでしょうね、たぶん。ドキュメンタリー番組も好きで、NHKの『ドキュメント72時間』なんかもよく観ていて。松崎ナオさんのテーマ曲(「川べりの家」)も素晴らしいんです。
──いい曲ですよね。「I Don’t Wanna Dance In This Squall」、崎山さんのいろんな表情が詰まってる曲ですね。この曲をシングルとしてリリースするのもすごいですけど。
僕も“え、本当にいいんですか?”と思いました(笑)。アルバムには結構歪な曲が入ってるので、その流れにある曲なんですけど。
──制作はいまも続いていますか?
はい。本当は毎日作りたいんですけど、なかなかそうはいかないことも多いですね。すぐにビビッとくる、“これはいい曲だ”と確信できる曲を作りたいんですけど…。
──崎山さんにとって「いい曲」というのは?
キリンジさんの「エイリアンズ」とか、岡村靖幸さんの「カルアミルク」とか、普遍的な名曲です。もちろん狙って作れるものじゃないですけど。折坂悠太さん、七尾旅人さん、スガ シカオさんにも、そういう名曲がいっぱいあって。頑張らないといけないなと。
──折坂さん、七尾さん、スガさんは、現在行われている『人間旅行2022』に参加していますね。
そうなんです!小林私さん、SASUKEさんは結構親交があって、MOROHAさん、Dos Monosさんとライブでご一緒したことがあって。他にも大尊敬しているアーティストの方々ばかりですね。本当に恐れ多いし、感謝です。
■いろんなものを吸収できる
──ライブを通して、得られるものも多いですからね。
お客さんの反応を見て、“こういう曲もいいかも”と気付くこともあります。でも、いろんなものを吸収できるのは、やっぱり他のアーティストの方のライブを観たときなんです。今回の対バンツアーでもたくさん学ばせてもらおうと思ってます。
リリース情報
2022.07.06 ON SALE
DIGITAL SINGLE「I Don’t Wanna Dance In This Squall」
ライブ情報
対バンツアー 崎山蒼志「人間旅行 2022」7月8日(金) 福岡 DRUM Be-1 出演:崎山蒼志、折坂悠太7月9日(土) 広島LIVE VANQUISH 出演:崎山蒼志、折坂悠太
7月15日(金) 新潟LOTS 出演:崎山蒼志、スガ シカオ
7月17日(日) 高松MONSTER 出演:崎山蒼志、 SASUKE
7月18日(月・祝) 大阪 味園ユニバース 出演:崎山蒼志、佐藤千亜妃
7月24日(日) 仙台Rensa 出演:崎山蒼志、 MOROHA
7月26日(火) 渋谷 CLUB QUATTRO 出演:崎山蒼志、 Cody・Lee(李)
7月27日(水) 渋谷 CLUB QUATTRO 出演:崎山蒼志、スカート
8月4日(木) 渋谷 CLUB QUATTRO 出演:崎山蒼志、Dos Monos
8月5日(金) 渋谷 CLUB QUATTRO 出演:崎山蒼志、七尾旅人
8月30日(火) 福岡 DRUM Be-1 出演:崎山蒼志、折坂悠太 (※7月8日(金)の振替公演)
8月31日(水) 広島 LIVE VANQUISH 出演:崎山蒼志、折坂悠太 (※7月9日(土)の振替公演)
プロフィール
崎山蒼志
サキヤマソウシ/2002年生まれ、静岡県浜松市出身。2018年5月に出演したインターネット番組をきっかけに認知を高め、数多くのTVドラマや映画主題歌、CM楽曲などを手がける。2018年7月に「夏至」と「五月雨」を配信リリース、12月には1stアルバム『いつかみた国』を発表。2021年1月にアルバム『find fuse in youth』でメジャーデビュー。
崎山蒼志 OFFICIAL SITE
https://sakiyamasoushi.com