FUKA/BORI
【DIG / 07】緑黄色社会
SIDE B – 緑黄色社会を深掘り
東京スカパラダイスオーケストラ・谷中 敦がホストを務める、音楽を嗜好品のように味わう、最深音楽コンテンツ『FUKA/BORI』(フカボリ)。
第7回目は緑黄色社会の長屋晴子(Vo、Gu)と小林壱誓(Gu)が登場。
自身について語るSIDE Bでは、長屋・小林の幼少期からバンド結成、現在に至るまでを深掘り。
長屋・小林の音楽への捉え方が変わるきっかけとなった曲、そしてメンバー全員に共通した“理想のバンド像”とは?
■0:00 ようこそ、最深の音楽へ
谷中:どうも。SIDE A盛り上がりましたね。
長屋:楽しかったです。
谷中:本当にね。この感じでSIDE Bもさらに色々お話を聞かせていただきたいなと思います。
長屋・小林:はい。お願いします。
谷中:よろしくお願いします。お座りください。
長屋・小林:はい。
■0:51 音楽のルーツ – 長屋晴子 音楽の原点
長屋:幼稚園の頃に初めてエレクトーンという楽器を習うんですよ。
谷中:エレクトーン、いいですね。
長屋:でも、結果足を使うのが難しくて。あれ、私これ向いてないなと思って、結果ピアノになるんですけど。そこから小学生の間はずっとピアノを習ってましたね。小学校の頃からトロンボーン。
谷中:そうなんですか。
長屋:そうなんですよ。小学校の後半と中学校と6年間、トロンボーンをやっていて。
谷中:吹奏楽部に。
長屋:そうです、そうです。
谷中:本当ですか、親近感(笑)。
長屋:そうなんです、ずっと私思ってて。親近感抱いてたんですけど。
谷中:トロンボーンですか。
長屋:そうなんですよ。という楽器経験はあったんですよね。だからずっと音楽っていうものがすごく身近にあったし、歌を歌うっていうことがそもそも物心ついた頃から好きだったんですよね。歌を歌えば周りが笑ってくれる感じが。
谷中:ずっと歌ってました?
長屋:ずっと歌ってました。もうスーパーとかでも歌っちゃってて。
谷中:スーパーでも歌ってた?
長屋:すごい恥ずかしかったと思いますよ、親は。1個すごく覚えてるのが、スーパーですごい気持ちが乗っかってしまって。もののけ姫の“もののけたちだけ”ってあるじゃないですか。あれをすごくルンルンでこうやって歌ってたんですけど、気付いたら視線が集まってて恥ずかしくなったっていう記憶がすごい鮮明にあります。
谷中:もう朗々と歌ってた。
長屋:歌ってたんでしょうね。すごい歌ってる子がいるからそれは見ちゃいますよね。それに気付いて恥ずかしくなってからはちょっと落ち着いた気がします。もともとやっぱり音楽の中でも歌うことがすごい好きだったので、小学生ぐらいからいつかは歌を歌いたいなっていう夢がぼんやりありました。
で、中学生のときにバンドっていう存在を知るんですよ。バンドっていう形態で音楽をやるっていうことにすごい魅力を感じて。メンバーがいてメンバーでアレンジをし合ったりだとか曲を書いたりだとか、ライブをしてとか、その姿がすごく素敵だなと思って。いつか私も軽音部に入ってバンドを組みたいっていうふうに中学校のときに思ったんですよ。なので、高校は絶対にバンドを組んでやるっていう熱い心で。
自分のことを誰も知らないところ(高校)に行きたかったんですよ。なんか変えたかったんですよね、自分を。その中学校も好きだったんですけど、1からやり直したい気持ちになっちゃってて。すごい中学時代真面目だったんですよ。真面目過ぎて型にはまった感じがあったというか。その真面目な長屋さんから抜け出したかったんですよね。私のこと誰も知らなさそうなちょっと自分の家から距離のある高校で、軽音楽部がある高校を探して入学しました。で、今に至りますね、バンドを組んでそこで。
谷中:そうなんですね。長屋さんが選んでくださった楽曲が。
長屋:いきものがかりの「うるわしきひと」
■3:42「うるわしきひと」
長屋:いきものがかりさんは、私小学生の頃から大好きで。でも出会いは違う曲だったんですよ。出会いはアニメの主題歌をされてる曲で知って、でもそのときはなんかいいなとか軽い感覚で聴き始めたんですけど、そこからいろんな曲を聴いていくうちにこの「うるわしきひと」っていう曲と出会って、それまでの私の音楽を聴くポイントみたいなのがすごく変わったきっかけの曲で。
歌を聴くときに、歌がうまいなとか、なんかかわいいなこの人とかっていう感覚はすごくあるじゃないですか。この「うるわしきひと」を聴いて、初めてこの人楽しそうに歌うなと思ったんですよ。ボーカルの吉岡聖恵さん。本当に体全体で歌うじゃないですか。その感じが楽しそう、私もこういうふうに楽しそうに歌いたい。全身を使って歌いたいって思ったんですよ。それが初めてだったんですよね。そう思わせてくれた曲っていうことで、自分の中ではすごく衝撃的というか、印象に残っている曲ですね。
谷中:特に「うるわしきひと」を選んだ理由っていうのは。
長屋:この「うるわしきひと」っていう曲が、私が思うに一番聖恵ちゃんの歌がまっすぐ届いてくる曲かなと思うんですよね。ギターの“ジャッジャッジャッジャッ”ていうところから始まるんですけど、そのシンプルなギターに乗せて歌がボーンって届くんですよ。一番最初にギターと歌だけのゾーンがあって、シンプルだからこその魅力がまずまっすぐに飛んでくる曲だなっていうのと、あと歌詞がですね、私が聖恵ちゃんに思っている気持ちみたいな感じなんですよね。
谷中:じゃあずっと吉岡さんのことは頭にありながら、バンド活動は続いていったりとかしてるわけですか。
長屋:そうですね。大好きだったので、歌い方もすごい似せていたというか、自分の中で。カラオケに行けば、まずいきものがかりの曲は歌うし、聖恵ちゃんの歌い方を真似て、ここはちょっと鼻濁音を強調して歌おうとか口をいっぱい広げて歌おうとかっていうふうに歌っていたので、今でも口の開きとかすごい大きく開けて歌うんですけど、そういうところはやっぱりずっと根深くというか自分のものに最早なっている気はしますね。
なので、みんな聴いてくれるような曲が書きたい。いきものがかりって、もう本当にみんな知っているアーティストじゃないですか。小さい子から本当老若男女知っているアーティストだなっていう。そういう偉大な存在に自分もなれたらな。歌を歌うことで、本当楽しそうだなとか、そういう感情を抱いてもらいたい、そういうボーカリストになりたいっていうふうに思わせてくれたんですよね、いきものがかりが。
谷中:吉岡さんはお会いしたことあるんですか?
長屋:あるんですよね。
谷中:どうでした?
長屋:一番最初に会ったときに、たまたまお会いできる機会をいただいて、急な話だったので、心の準備もできず、号泣してしまって。人って大好きなものを前にすると、本当に言葉が出てこなくなるんだなっていうのをそのとき思いましたね。本当に大好きです、大好きですしか言えない。
小林:聖恵さんの大きな愛を感じましたね、そのときに。「泣かないで」。
谷中:そのとき(小林さんも)いらっしゃった?
長屋:一緒にいて。抱きしめてくださって「大丈夫、大丈夫」って言って。聖恵ちゃんも後で聞いた話ですけど、そういうふうに自分のことを好きだって言ってくれる人と会うのが初めてだったみたいで、アーティストとして。すごいうれしかったんだっていうふうに言ってくれて。その話でもまたちょっと来ちゃいますよね。
■7:32 音楽のルーツ – 小林壱誓 音楽の原点
小林:実家がダンス教室で、小さい頃からというか母のおなかにいるときからずっと音楽を浴び続けていて、結構大きめの音量で。多分、本当に細胞から音符が鳴っているような状態だったんです。ずっとダンスやってたんで、基本的にJ-POPに合わせて踊ることが多くて、ヒットチャートの多分トップ15ぐらいの曲はほとんど踊っていますみたいな、そんな感じだったんですけど。ギターに興味を持ったのがYUIさんがきっかけで。たまたま友達にいやいや連れて行かれたボーリング場のモニターで、よくMVとか流れているじゃないですか。
谷中:流れていますね。
小林:それを見たらYUIさんが歌っていたんですよね。喧噪の中。音なんか聴こえないんですけど、すげえ美しい人だなと思って。
長屋:(笑)。ギターとかじゃなくて?
小林:ギターとかじゃなくて。家帰ってから名前だけ覚えておいて調べて、そのミュージックビデオを改めて見て、そのときにYUIさんが持っている赤色のストラトキャスターがかっこよく見えて、ビギナーズセットのギター…アンプも付いているようなやつを父親にお願いして買ってもらって、それが最初にギターを持ったきっかけです。
谷中:すごいきっかけですね。
小林:そこからまたバンドっていうものに興味を持ち始めるのは中学3年生の頃なんですけど、滑り込みで入った塾で初めて知り合った友達が僕に勉強じゃなくて音楽を教えてくれて。「これいいから聴いてみな」って聴かされたのがBUMP OF CHICKENさんの「K」っていう楽曲で。
■9:15 「K」
小林:うわっ、これはバンドでしかできないなと思って。バンドでしかできない上に楽曲にストーリーを持たせることができるんだ。
谷中:すごいですよね、あの曲はね。
小林:そこに感銘を受けて。そこからは本当にずっとBUMP OF CHICKENを聴いていました。当時僕はどちらかというと、藤原基央さんになりたかったんです。歌の真似をしていて。カラオケ行ったらもう絶対BUMP OF CHICKEN入れて歌の練習するみたいなことをずっと続けていて。
しかも、バンドとしてもそこにその言葉があるから、そういうフレーズがなっているみたいな。本当に物語を豊かにするための飾りになっているという構成がすごい美しくて。ギターのフレーズってかっこいいが正義みたいなところあったりするじゃないですか。そうじゃないんですよね。その言葉を補完するための楽器みたいな。映像をより鮮明にするための道具みたいな感じに扱っていて、スネア一つ取っても。「K」で言うと猫が走っている、その映像というのがスネア一つで浮かぶんですよね。そういう曲の作り方っていうのが本当に素晴らしいなと思っています。
谷中:それ深いですね。
小林:奇跡的にBUMP OF CHICKENの結成日とされているのが1996年の2月11日なんですよ。それが僕がまさに生まれた年、生まれた月、生まれた日なんですよ。
谷中:あっそうなの?
小林:俺の日来たってなっちゃって。一度フェスでお会いしたことがあって。そのときにそれをお伝えしたら、藤原さんが「俺が一番会いたかった人だ」って。
谷中:かっこいいな、藤くん。
長屋:本当にかっこよかったんですよ。
谷中:藤くんそういうこと言うよね。
長屋:さらっと言えてしまう。
谷中:本気で言っているもんね、絶対。
小林:藤原さんが覚えているかどうか分からないですけど、長屋は証人として見ていました。俺が“一番会いたい人”だったそうです。
谷中:うれしそう(笑)。
長屋:本当にうれしそうにしてて、夢が叶った瞬間だったわけですよ。私それで泣いちゃって。私が泣いてしまって(笑)。
谷中:ここでも私が泣いた(笑)。
長屋:ベース(穴見)も壱誓も、何をするにもやっぱBUMP例えをするぐらいに大好きだった人にそんなこと言ってもらえるなんてって思って泣いてしまいましたね。いい瞬間だったよね、あれはね。
谷中:いつか同じような場面になったときに小林さん言うんですよ。その人に。「僕が一番会いたかった人だ」。
小林:絶対言います。藤原さんと同じトーンで言います。
一同:(笑)。
■11:48 偶然と奇跡の出会い
谷中:高校でみんな出会ったということですけど、どういう状況で出会ったんですか?
長屋:どうしてもバンドが組みたいので、いざ入学してメンバー集まらなかったら嫌じゃないですか。なので、入学前からSNSでプロフィールに何々高校の軽音楽部入部予定っていう人を探して、見つけて連絡をしました。入学前から。約束して、バンドを組もうねっていうのを。ここでまず。ここが一番最初です、緑黄色社会の。
谷中:すごいですね。
長屋:だって組めなかったら嫌じゃないですか。メンバーがいなかったら。やる気が満々だったので、本当に。そのときはもうバンドのことばっかり考えてましたね。とりあえずメンバーを集めなきゃっていうところで、まず約束をして。
谷中:初めてお会いした瞬間って何となく印象はどうでした?
長屋:その瞬間が本当に、ね? 壱誓もだよね。
小林:うん。
長屋:すっごい鮮明に覚えてるんですよ。事前に特徴をお互い聞いてて多分プリクラみたいなものを交換したりとかしていて、こんな顔だよみたいなことをしていたんですけど、クラスも違ったので、なかなか入学してから数日は会わなかったかな?
小林:うん。
長屋:会うことなく。で、たまたま1年生のエリアがあって、そこの階段で上ってくる人、下りてくる人で、こう…ここで会いました。あっ、ああ、あって。
谷中:お互いに認識。
長屋:絶対そうだみたいな感じで。もう明らかにこの人だ! というのが何か雰囲気がほかの人と違う感じがあったのは覚えています。というのも当時白い眼鏡をしていたので、分かりやすかったんですけど、私からすると。
小林:白縁眼鏡にオレンジ靴、オレンジ時計、オレンジベルトでしたね。
長屋:すごい分かりやすかったです。
小林:当時あってなったとき、長屋はガニ股で膝を曲げて、あってやってきましたね僕に。
長屋:今でもすごいなって思うのが、壱誓だけじゃなくてメンバーみんなもともと本当に偶然出会ったんですよね。入学式に、同じSNSでいわゆる友達みたいになっていた女の子がいて、その子を校門でたまたま見つけて、何々ちゃんだよね? っていうふうにお話をしたんですよ。それがpeppeなんですけど、キーボードの。誘うつもりもともとなかったんですけど、部活何にする? っていう話をしていて私は軽音楽部入るよって。peppeはチア部?
小林:チア部とかダンス部。
長屋:ダンス部とか吹奏楽とか入ろうか迷ってるんだって言ってて。その流れでピアノをやってるって言ったんですよ。これはと思って(笑)。その場で一緒にやらない? バンドみたいな、軽音部入ろうよってダメもとで言ったら、いいよって言ってくれて。そこで二人目獲得。
小林:パワプロくんみたいですね。
長屋:本当に(笑)。最後の一人は紹介ですね。ベースがなかなか決まらなかったんですよ。人口的にも少ないんですけど、ベーシストって。同じ学校内で探さなくてもいいんじゃないかっていう話になって、ちょっとちょうどいい人がいるよ、俺の幼馴染なんだけどって言って紹介してきてくれたのがベースの穴見なんですけど。
小林:これはもう僕の策略です。
谷中:策略入りました?
小林:初めから僕は穴見真吾を入れたかったんです。BUMP OF CHICKENさんって、幼馴染で組まれたバンドなんです。
谷中:また来たそこが(笑)。
小林:僕も幼馴染とバンドやりたかったんですよ。
長屋:最初は戸惑いました。学校も違うし、年も2個下なわけですよ。私たちは高校2年生、彼は中学校3年生。
谷中:そういうことだ。
長屋:中学生が入るのかとか。大丈夫かな? やっていけるかな? みたいな不安もあったりとかしていたんですけど、やっぱりもともと経験してたっていうこともあったりとか、あと彼の人間性だったりとか、音楽のアプローチだったりとかにすごい惹かれて…そこからメンバーになりましたね。
谷中:準備は何をしたんですか?
小林:何か曲作りましたね、確か。
谷中:えっ、いきなり?
長屋:曲作ってみようかって。何か弾いてみてって言って。
谷中:弾いてみて? ちょっと待ってくださいよ。全然、僕理解が追い付かないんですけど。
長屋:最初、私とpeppeもお試しみたいな感じで、今日顔合わせするのかなと思ったんですよ。でも壱誓はその気じゃなくて、BUMPの憧れがあるので、入れる気満々なわけですよ。壱誓が曲作ろうぜって言い出したんですよね。だから私とpeppeは、えっ、もう活動していくの? みたいな感じでびっくりしていました。
小林:説明しないほうがいいこともありますから。
谷中:なんか面白いですね、それ。そのとき、曲作れたんですか?。
小林:インストみたいな楽曲が…。
谷中:覚えてます? その曲って。
小林:たしかテーマは「森」でしたね。みんなで森を表現しようと。
谷中:むちゃくちゃかっこいいな。何かそれ。すごいロマンチストだな。「森」って言ったときに、ええーっ? とか言うメンバーいなかったですか?
長屋:いないんです。どの出会いもすごい偶然だったので、あの偶然がなければ今はないなという瞬間が本当にたくさんある。演奏とか歌声とか全く聴かずに約束をしたメンバーとずっとこうしてやれているというのは、何か本当に運命だなって思います。
■17:08 メンバー全員が曲を作る強み
長屋:もともとは全員で作っていたんですよ。当時余りにも効率が悪過ぎてというか、遅過ぎて私たちのペースが。全員で入ると。
谷中:全員でそれを音を一緒に出しながら考えた?
長屋:そうなんです。スタジオに入って…。せーのでやって。しかも当時学生で、そんなに頻繁にもスタジオに入れず。2〜3ヶ月で1曲みたいな。
小林:何ならホワイトボード出して歌詞も同時にみたいな感じだったんですよ。
長屋:なぐり書きしてやっていた感じだったので。これじゃ余りにも曲ができないから、ちょっとみんな作ってみない? というふうにみんなで話したときがあって。
小林:で、それぞれがDTMで作業できるようにスキルを身につけて。個を伸ばしていく作業みたいなのが結構ありました。
長屋:お試しで、結果やらない道を選んでもいいなとも思っていたんですよ。でも結果としてみんなが本当にすごくいい曲を書けるメンバーだなというので、私たちにしかない魅力だなとも思っていますね。
谷中:別々に書くときと共作するときの違いってどういうことですか?
長屋:別々で書くと、やっぱりそれぞれの個が色濃く出る。ほんとにいろんなパターンがあるんですけど。曲をその人は作ってて歌詞は違う人にお願いするとか、曲も歌詞もその人がするとか、いろんな組み合わせがあるんですけど。一人でやればやるほど個が伸びるので。
谷中:個性的になりますもんね。
長屋:今までなかったような曲が生まれやすい気はしてます。
小林:一人でやるっていうのが、でも、結構このバンドでは逆に難しくて。ちょっと行き詰まったときにこいつの手も借りれるなみたいな気持ちになっちゃうんですよ。
谷中:それ仲良いってことじゃないですか。
小林:だから、なかなか一人で完成させるにはしっかりしろよって、一人でこの曲は書くんだぞみたいな気持ちに落とし込まないとなかなか書けないという。助けを求められる仲間がいるんで。
谷中:自分で考えたアイデアがメンバーに聴かせると違う形になっていくのもまた楽しかったりっていう…そういうのを楽しむ余裕もあったりするんですか?
長屋:そうですね。ほんとに違う人のフィルターがかかるとこんなにも違うんだとか。
谷中:全然変わってきますもんね。
長屋:そうなんですよ。こういうアレンジにしたらいいんじゃない? みたいなディスカッションとかも生まれるんですよ。それがすごい、結構みんな活発に意見くれるので。
谷中:何かそんな感じがしますね。
小林:メンバーに相談すると、自分のやりたいことが見えてくるんですよ。自分これどうしたらいいのか分かんないなってときに、「これどうしたらいいと思う?」って相談するといろんな案をくれるじゃないですか。そうすると「それは違う気がするな」みたいな、だんだん絞られていくんですよね。「俺がやりたいことそれだ」みたいな。
谷中:聴いたほうもいろいろと発言できる環境があるっていうのはとってもいい社会ですね。
長屋:そうなんです。いい社会なんですよ(笑)。
■19:54 想像を超える楽しさ
谷中:緑黄色社会としてもう高校のとき始めているということですよね。そのときの周りの人たちの反応はどうなんですか?
長屋:最初は文化祭でコピーバンドみたいな感じでやっていたんですよね。同級生だったりとか先輩だったりとか、学校にいた人たちが私たちの存在を知ってくれて、何か褒めてくれたんですよね。私たちの高校ってすごいスポーツが強い学校なんですよね。なので、バンドというかそもそも軽音部に日の目が当たる日がなかった。ちょっとそれもモヤッとしてたんですけど。学校行事で演奏した日ぐらいから周りの目が変わったというか。
バンドという存在を知ってくれたし、私たちの緑黄色社会というバンド名まで知ってくれて、何なら今度ライブ行ってみたいとか言ってくれるようになったのがすごくうれしかったですね。同時に人前で演奏するってこんなに楽しいんだとか、ライブの楽しさみたいなのも思うようになりました。
谷中:ファンみたいな人も高校のときにもう付いていたりしたんですか?
長屋:そうですね。学校外でライブをしていたんですよね。オリジナルをつくるようになってからはしていたので。
小林:そのときからずっと今も追ってくれているという方もいますね。
谷中:入りたいという人もいそうですね。
長屋:でもいますね。今ドラムがいないので、ずっと。「僕ドラムどうですか?」っていうふうに連絡下さる方もいますけど。でも難しいと思うんですよね。高校生からやっているわけですよ。しかも幼馴染もいたりとかして。そこに入れる人ってもういないんじゃないかって。
小林:もはやスキルとかではないんですよね。波長がね、合う人間を選ぶという謎の面接みたいな。
長屋:しかも今は多いじゃないですか、いろんな形があるというか、音楽形態にも。私たちはドラムレスですけど、そうじゃない違う楽器がいないとか。結構当たり前。むしろこの4人の関係性を深めていけたらなと思います。
谷中:バンドやってみたいって思って、その緑黄色社会のメンバーと出会って、今もバンド楽しいって長屋さんがイメージしていたとおりになっているというのが何かいいですね。
長屋:しかも思い描いていたバンドよりもっと楽しいかもしれないですね。
谷中:超えてきた?
長屋:超えている感じがしますね。
小林:まだまだ本当道半ばですけど、何かBUMP OF CHICKENさんが先日26周年を迎えたんですね。僕らも26年はまずやらないとなという、そんな気持ちです。
長屋:メンバーが出会った頃から、ちゃんとみんなで方針とかを話し合ったわけじゃないんですけど、国民的な存在になりたいというのをなぜかみんな口をそろえて言っていたんですよ。本当たまたまの出会いでしたけど、たまたま同じ志というか…志があるメンバーと出会えたなと思っていて。幅広く自分たちの音楽を届けられるような存在をこれからも目指していきたいなと思いますね。
小林:この間メンバーと話していて一つ分かったんですけど、何でみんな国民的な存在になりたいなんてことを、そんな大口をたたいていたかというと、誰一人明確な目標がなかったからなんですね。例えば武道館って一つ何か登竜門だったりするじゃないですか。そういうのも何か後から目標になったというか。
その何か目標を果たしてしまったときの燃え尽きが怖いのかもしれないですけど。今度武道館の公演も僕ら決まっているんですけど(※結成10周年の節目を迎える2022年、9月16日・17日に初の武道館公演を開催)、そこも何か一つの階段の途中みたいな気持ちで迎えたいと思っていますし、いつまでたっても僕らはたぶん国民的になりたいって言い続けるんだろうなという感じですね。
『FUKA/BORI』
https://www.youtube.com/playlist?list=PLi1F8vriz0_WL3yKBwFfP68Mkx7f8Y4KV
『THE FIRST TIMES』OFFICIAL YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCmm95wqa5BDKdpiXHUL1W6Q
緑黄色社会 OFFICIAL SITE
https://www.ryokushaka.com/
谷中 敦 OFFICIAL Twitter
https://twitter.com/a_yanaka