■「この質問、不倫したいと思ったことあるかってこと?(笑)」(森山直太朗)
テレビ東京にて、明日8月9日から野村宗弘の漫画『うきわ』を原作とした連続ドラマ『うきわ ―友達以上、不倫未満―』がスタートする。
本作は、社宅のベランダを舞台に“不倫まで壁1枚”というお隣同士の危うい関係を描いた作品。
このドラマの放送開始に先駆けて8月4日、主演の門脇麦、共演の森山直太朗、監督の風間太樹によるオンライン記者会見が行われた。
<オンライン記者会見レポート>
Q:演じる役の見どころをお聞かせください。
門脇麦(中山麻衣子役/以下、門脇):麻衣子は可もなく人生を送ってきたんですが、浮気をされてショックなことがあり、平々凡々な生活じゃなくなったときに出てくる自覚していない彼女の強さとか芯の太さみたいなものを、どう出していくか、どう成長させていくか探りながら演じています。
(1話の頃の麻衣子から心境の変化を感じられるようになってますか?)
物語自体がそういうお話ですし、彼女自身が二葉さんと出会っていくなかで、自分でも知らなかった感情に触れた瞬間の喜びとか各話に散りばめられているので、チャーミングに見えるんじゃないかなって思っています。
森山直太朗(二葉一役/以下、森山):麻衣子さんと同じように平々凡々と社会生活を送ってきて、お子さんはいないんですが、夫婦仲もいい。でもあるときに奥さんの秘密を知ってしまう。そこから二葉さん自身の人生に影を落としていくですが、麻衣子と同じような境遇で彼女自身を自分の立場に置き換えて励ましたり、寄り添ったりしていくなかで自分の弱さ、甘えに気づいてそれを乗り越えてく。不倫というテーマなんですが、なんの変哲もない男性に起こる事件を通じて成長していく物語だと捉えています。
(不倫というドラマではありますが、リアルな物語に感じられそうですね)
おっしゃるとおりでプロデューサーも言ってたんですが、要するに物事には不倫される側にも不倫する側にも原因があったりって話があると思うんですが、原因というよりは理由がある。その理由を皆んなないがしろにして、先送りにしてしまうけど、そこを麻衣子さんとの出会いを通じて、そこと向き合っていく。監督の言葉を借りれば、心の逡巡を描きに描いている。
Q:今回は「不倫にゆらぐ」役どころでありますが、役作りのために意識された点や情報収集されたことなどありましたら教えてください。
門脇:私何もしなかったですね。今回の作品は1ミリも自分の受ける感情とかを準備せずに現場に入って直太朗さんと会話して、生まれてくるものだけを拾い上げてやっていきたかったので、役作りを放棄するっていう、私のなかではとてもチャレンジングなことでした。準備していった方がラクなんですよ。大変怖かったです。
(麻衣子の役と重なる部分はありますか?)
彼女と真逆なので…難しかったですね。
森山:そんなやり方もわかんないし、台本をとにかく読むという方法でした。かなり綿密にマンガのテイストを引き継ぎながら、ドラマ化していく上で脚本に落とし込むかという工夫がなされていたので、その書かれていない部分をどう想像していくかが大事だなと思って行間だったり沈黙、間合いみたいなものを想像して、普段乏しい読解力をフルに使ってやりました。もうひとが門脇さんも言ってましたが、僕初対面だったので、その物語が進んでいくってことと門脇さんと距離が縮まっていくのがまったく同じ速度感だった。僕も不安だから無理に「お休みの日何してるんですか?」とかいう話で距離を縮めようとするタイプの人間なんだけど…。(門脇さんの)プライベート怖いんで(笑)。
門脇:やめてください(笑)。私もインする前に、合同取材で初めて直太朗さんの素の感じをチェックしたとき、私もおふざけなので、ヤバイと思って。ふたりでふざけると思ってたので、とにかく距離をおこうと思って、最後撮影の1週間2週間くらいまで心を開かなかったです(笑)。お芝居のときだけしゃべるくらいに…。
森山:そうだね。麻衣子と二葉さんが仲良くになるにつれ、我々のプライベートな関係も…折り重なっていような。
門脇:話しかけたかったけど、本当に話さなかったので。最初の1ヵ月くらいは。
Q:風間監督に伺います。演出されるうえで意識されたところなどありますか?
風間太樹(監督/以下、風間):シナリオの時点でふたりの会話の空気感とか、同じ空間で過ごす心地のよさは上手に描かれていた。現場ではふたりが寄り添っていく過程の緊張の緩みの瞬間とか、痛みの共感からはみ出していく感情の芽生えを大切に、慎重に演出することを意識していました。あとは不倫された側の辛さ、悲しみに寄り添う意識はもちろんあったんですけど、それ以上にふたりが立ち上がっていく強さがどこにあるのかを話しながらキャラクター作りをしていました。
Q:現場の雰囲気について伺います。撮影の雰囲気はいかがでしたか? 他の共演者の方の印象や共演されてのエピソードなどありましたら教えてください。
門脇:空気感は映画をやっている空気感に近いですが、なのにスケジュールはドラマのスケジュールで過酷(笑)。スタッフの方は皆さんゆったり、のんびり穏やかな方が多い印象。キャストは旦那さん役の大東(駿介)さんがとにかくおふざけな人で私が直太朗さんと最初距離をとろうとしてたときも「しりとりやろうぜ」って…。
森山:大東くんが待ち時間とか気を遣って、新しいゲームとかおすすめのアイテムとかを持ってきてくれるんですが、ずっと空回りしてるんです(笑)。あと、現場のメイクさんとか支度部屋にいるスタッフさんとにかく明るくて学校みたい。毎日通う学校じゃなくて修学旅行みたいな。これが1ヵ月半続くのかと思ったら、なんか恐怖に思えたけど、毎日やりながら終わっちゃうんだなってさみしさを持ちながらやってた。あと季節の合間で炎天下で不幸にも風間監督が無類の雨男(笑)。雨のシーンじゃなくていいよねってときにスコールみたいなのが降る…。
門脇:クランクアップのときも雨でしたね。
森山:後に過酷な撮影現場になっていくんですが、それを皆で情熱とセンス、スキルはあるんだけど、気力で乗りこえたのは自分のなかで成功体験。こんな年齢になって皆で泥んこになってひとつのものを作るって中々やれなかったから、それはしんどかったけど身になったなって。だって麦ちゃんなんて海でおぼれたり、ベランダから落ちたり、ベランダで転んだり…。文句ひとつくらい言ってやるんですか…?
門脇:文句言ってますよ。こんななんでもできると思わないでくださいって(笑)。
森山:それをやるからすごいなって。そういう妄想のシーンとかも淡々とした物語なんだけど、めちゃくちゃアクロバティックだし、緩急に富んだものになってるので、楽しんでもらいたいなって。
門脇:楽しい撮影現場でした!
風間:キャストの皆さんの支度部屋のにぎやかさに救われてた。中山夫婦も二葉夫婦も仲良すぎて休日も一緒にバーベキューやってるんじゃないかくらいの盛り上がり方してた。(門脇に)虫とか好き?(中山夫婦と)回想のシーンで遊園地に行ったんですけど、合間にふたりしてきのこ狩りに行ってました。
門脇:大東さんと私ふたりとも夏休みの少年っぽいところがあって、ロケとか行くとふたり散り散りになって虫とか探しにいったりとか。あと私たち早弁夫婦だったんですよ。お弁当来た瞬間にふたりでお弁当を…(笑)。なんか似てますよね。
Q:門脇さん、森山さんお互いの印象、そしてお互いの魅力を教えてください。
門脇:直太朗さんはおもしろい方です。直太朗さんのありとあらゆるところがツボに入ってしまって。だから仲良くなるの怖かったでんですけど、入ってきてセリフしゃべるシーンで何回も笑って、NG出した(笑)。
森山:なんでだったんだろう…。
門脇:体の線ですかね。共感してくれる人1,000人にひとりはいると思うんですけど、とてもチャーミングですごい面白くなってしまう。魅力的な方だと思います。
森山:クランクアップのときに麻衣子さんが麦ちゃんで本当に良かったっていうのは大前提なんですけど、僕も初めての現場で風間組のキャプテンが麦ちゃんがそこにいてくれて救われた瞬間がたくさんあった。笑ってもらえるってことだけで、自分の心の開き方も全然変わってくるし。まあ単純に笑われてるんですけど(笑)。でもなれ合いの現場じゃなかったし、緊張感を保ちながら、そこの距離感が崩れることは一度もなかったんじゃないかな。
風間:麦さんは、体感から生まれでる表現が魅力的な方だと思ってたんですけど、今回の現場で発見だったのは気力の部分、麦さんが頑張ってくれたからこそ、描けたシーンがたくさんあったなって。体力的なこともそうですけど、精神的にタイトなスケジュールのなか頑張ってくれて、そのガッツが胸に刺さって。感謝しています。直太朗さんは自分のなかで二葉さんでしかない(笑)。アーティストの直太朗さんとしてこれから見られるのかわからない。二葉さんとして食事をしているシーンやたばこを吸ってるシーンは哀愁があったり雰囲気がすごく魅力的な方だなって。あと声がいいです。
Q:タイトルにある「友達以上、不倫未満」にちなみ、男女間での友情は成立すると思いますか?
門脇:します! 男の子の友達がたくさんいるので。だいたい30代から50代くらいの方が多いですが、友情は成立すると思います。お互いに成立させる気があれば。お互いのことをとても大切にしていて、尊重し合えれば続けていける関係。だから私は男女の友情は成立すると思います。
森山:結構むずかしい。男性と女性で区分したときになんとも言えない…難しい質問。人間同士の関係なんですよね。それがたまたま男女だったいう話で。依存と癒着っていうのが人間同士あると思う。だから男女の友情っていうのも性的なものもあったり、さみしさとかあったりするけど、人間同士自立した関係であれば友情って位置づけることは簡単にできると思う。だから答えはイエス。すみません、回りくどくて(笑)。簡単にできる。だけどできない人も多いと思う。何かにすがって生きていく人はせっかくある純然たる関係を違う弱さとさみしさで引き合って社会的に間違いが起こっちゃうのは歴史が証明してるから…。
風間:僕もすると思っております。
Q.「友達以上、不倫未満」ですが、このラインを考えられたことはありますか?
門脇:ないです。その人を大切に思っていたら、その人の幸せを願っていたら、周りの人も大切に思っていたら、する行動としない行動があると思う。私はしない行動しかしない。大切にしたいっていう感情の先に不倫とかいう欲求、気持ちはゼロですね。
森山:この質問、不倫したいと思ったことあるかってこと?(笑) 難しいけど、特定の人がいるなかで「この人魅力的だな」って思うことっていうのは男だし、誰もが思うことなんだけど、その先は想像力の話で。じゃあ実際その人とどうこうなったときに、友達以上、不倫未満って言ったら、その人と友達じゃなくなってしまう。あるいは特定の人がいたらその人やその人の周りの人に対しての自分の在り方さえ価値がなくなってしまうから…。考えたことはあったとしても、行動に移すか移さないかは理性と想像力かなと。
風間:考えたことは正直ないですね。自分自身の物差しでしかないよなって。曖昧さがこのラインにはあるよなってことしか考えたことなかったです。
Q.最後に1話放送に向けてお願いします。
風間:まずはドラマ版『うきわ』に流れるゆるやかで温かい時間を楽しんでいただきつつ、続々と登場するキャラクターの個性、葛藤に注目していただけたら。オープニングとエンディング曲も書き下ろしで作っていただきました。劇伴含め、うきわの世界を彩る音楽にもぜひご注目ください。
森山:僕も観たばかりで、こんな世界観になっているんだって、正直何度見ても面白い作品。これって自分の活動とか楽曲とかにも置き換えられるけど、何度観ても面白いものって普遍的なものがそこに流れている。だから刺激ばかり求めるだけのエンタメに少し胃もたれしてる人とかにぜひ観ていただきたいし、そういうのが好きでも好き嫌いを超えた世界観になっているのでここは一つひとつのシーンが愛おしくて、きっと何か感じていただけるものがあるんじゃないかと思います。
門脇:1話はしっかり引きがあって1本緊張感あるなかで日常が流れている。自分が出てる作品関係なく、いい1話だなって思いました。あと直太朗さんが最高。直太朗さんがドラマに出るってことに対してどういう思いをされてるかが、1話を観てすごい伝わってきて、ご一緒できてよかったなって思いました。
■本間かなみプロデューサー コメント
最近何か物事を取り上げて、過剰に白か黒か制裁していくような空気を個人的に感じているなかで、誰かの背景を想像することの大切さだったり、見えないところにあるそれぞれの戦いを描きたいなと思って企画した作品です。
“不倫もの”というとドロドロ、刺激的なエンタメとして描かれることが多いですが、この作品は誰かの心の揺れ動きが誰かの人生にちょっとずつ作用していくようなそんな日常の営みのなかにあるさざ波みたいなものを意識して作ってきました。素敵なキャストの皆さんと信頼する監督で作りあげた『うきわ』の独特な世界観を楽しんでいただければと思います。よろしくお願いいたします。
番組情報
テレビ東京『うきわ ―友達以上、不倫未満―』
2021年8月9日スタート 毎週月曜23時6分から放送
放送局:テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、テレビせとうち、テレビ北海道、TVQ 九州放送
配信:動画配信サービス「Paravi」と「ひかり TV」にて配信予定
出演:門脇麦 森山直太朗 田中樹(SixTONES) 高橋文哉 小西桜子/大東駿介 蓮佛美沙子 西田尚美
原作:野村宗弘『うきわ』(小学館ビッグスピリッツコミックス)
監督:風間太樹 太田良
脚本:倉光泰子 神田優
音楽:坂本秀一
オープニングテーマ:安藤裕子「ReadyReady」(ポニーキャニオン)
エンディングテーマ:三浦透子「通過点」(EMI Records/ユニバーサルミュージック)
制作:テレビ東京/AOI Pro.
(c)野村宗弘・小学館/「うきわ ―友達以上、不倫未満―」製作委員会
【8月9日放送 第1話あらすじ】
夫・たっくん(大東駿介)の転勤で、仕事を辞め広島から上京した中山麻衣子(門脇麦)。社宅の隣室に住む夫の上司・二葉一(森山直太朗)と妻の聖(西田尚美)に温かく迎えられ、東京での新生活に胸弾ませる。だが、多忙な夫は毎晩帰りが遅く…。そんななか、ひょんなことから麻衣子と二葉はベランダで交流を持つようになる。普通の幸せ、普通の2組の夫婦。しかし、麻衣子は夫の秘密を知ってしまい…。麻衣子の普通が崩れていく。
『うきわ ―友達以上、不倫未満―』番組サイト
https://www.tv-tokyo.co.jp/ukiwa/