INTERVIEW & TEXT BY 鳴神富一(スポーツジャーナリスト)
PHOTO BY 冨田 望
(C) B.LEAGUE / SONY MUSIC ENTERTAINMENT (JAPAN) INC.
世界でも話題になっている“ファンタジースポーツ”や“スポーツベッティング”をご存知だろうか?
海外ではすでに大きなビジネスマーケットとして注目される“スポーツ×ゲーム”のあらたな形である。実はその波が今、日本に押し寄せてきているのだ。
そんなファンタジースポーツやスポーツベッティングを体験できるのが、国内男子プロバスケットボールリーグ・B.LEAGUE(Bリーグ)の頂点を決める『B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2021-22』に合わせて開発された『B.LEAGUE CHAMPIONSHIP GAME x GAME』(以下、GAME x GAME)である。
本ゲームをメジャーデビュー10周年を迎えた、藍井エイルが挑戦。小学生の頃から真剣にバスケをプレーしてきた経験者でもある彼女が、ゲームの魅力、そしてバスケというスポーツやB.LEAGUEの魅力を語る。
※本取材は『日本生命 B.LEAGUE FINALS 2021-22』前に実施。
※文中の所属クラブは2021-22シーズン時のものです。
■B.LEAGUEを観戦して、とにかく楽しかったし、興奮して盛り上がりました
──バスケ経験者とのことですが、いつからどういうきっかけで始められたのですか。
藍井エイル:通っていた小学校にメンバー募集のポスターが貼ってあって、元々体を動かすのがすごく好きなタイプだったのもあり、友人とノリで一緒に体験してみよう! と練習に行ったのがきっかけです。ポジションはパワーフォワードというインサイドでプレーする感じで、チームのキャプテンを務めたこともあります。
実は自分が通っていた小学校には(バスケ)クラブがなくて、隣の小学校で練習していたんですよ。しかも、当時は女子の人数が少なくて、男子チームに混ざって練習することもありました。夕方の練習に加え、朝練もして、真剣にプレーしていましたね。なので、(厳しい展開の)試合では悔しくて、涙を流しながらプレーすることもありました。
──当時はどういうプレースタイルだったのですか。
藍井:当時のコーチからは、自分自身で攻められるならパスなんてしなくてもいいから、ドライブしてゴールまで突っ込んでいきなさいと言われていました。それと、とにかくハードにプレーして、相手のファウルをもらってきなさいとも指示を受けていましたね。始めた時は両手でそれぞれドリブルしながら走るメニューで、利き手ではない左手のドリブルがまったくできず、左手でのレイアップも苦手でした。
──今も時間があれば、プレーされているとうかがいましたが、バスケの魅力って何だと感じていらっしゃいますか。
藍井:バスケはゲーム展開が速いじゃないですか。それは他のスポーツの中でも特殊な部分であり、特長でもあるのかなと思っていて。
あとは、誰でも気軽に楽しむことのできるスポーツですが、奥深さもあって。プレー経験の長い人と短い人で差が出やすいスポーツだとも思っています。実際にやってみると、競技の難しさを知るといいますか。
そういう難しさを乗り越えて、当たり前のように様々なプレーをやってのける選手のすごさを、私自身プレーをしていたからこそ感じますね。それも魅力のひとつだなって思います。
──アリーナに足を運んで試合観戦もしたこともあるそうで。
藍井:弟と観戦しました。弟はサッカーをプレーしていたんですが、私の試合を観に来たこともあり、バスケを知っていたのでふたりでかなり盛り上がりました。
──実際にアリーナで観戦した時の印象はいかがでしたか。
藍井:もう本当に楽しかったですね。司令塔と言われるポイントガードの視野の広さにびっくりしたのを覚えています。「ここまで見えるのか」「この一瞬の隙、見えるんだな」と感心していました。
加えて、試合中にオフェンスでパスがポンポンとリズム良く回っていく中で、相手のディフェンスの隙を見逃さず、ゴール下にボールを入れて簡単に得点を決めていく…普通だと見抜けないところを簡単に見抜いて、得点していくというのが繰り返されていったんで、毎回驚いていました(笑)。
それと自分のプレースタイルでもあるドライブが気になって、「本当にこのドライブ完璧だし、天才!」って注目して観ちゃいましたね。
──B.LEAGUEで気になる選手やチームはいますか?
藍井:やはり地元のチームでもある「レバンガ北海道」は気になりますね。地元愛があるので応援したいですね。
──バスケ繋がりで言いますと、12枚目のシングル「アクセンティア」MVでは、五十嵐 圭選手と共演されていますね。
藍井:もう震えました! まさか出演いただけると思っていなかったので、最初に(出演決定の)話を聞いた時は「えっ!?」と言葉にならず。
MVでは、五十嵐選手にドリブルで様々な技をと入れてもらいながらレイアップシュートをしてもらいましたが、間近でプロのプレーを拝見できて光栄でした。シュートフォームが綺麗で素敵でしたし、人柄も本当に素晴らしくて、優しい方でした。すごくうれしかったです。
──五十嵐選手は現在「群馬クレインサンダーズ」でプレーしています。
藍井:実際にアリーナに行って、声が出せるのであれば、全力で五十嵐選手を応援したいです!
■今の音楽活動にも、バスケで培った経験が活きている
──MVで選手との共演の他、バスケを真剣にプレーしていたという経験が音楽活動に反映されることはありますか?
藍井:私は頑固で、すごく負けず嫌いではありますが…。バスケは体と体がぶつかるスポーツで、遠慮があると絶対に勝てないから、まずは絶対に気持ちで勝て! って教わってきたんですね。そのおかげもあって、ライブの本番前は弱音を吐くことが多いんですけど、いざ始まっちゃうと「絶対やってやる!」っていう気持ちにはなれますね。
── “点を取って勝ちたい” “良いライブにしたい”と違いはあっても、一生懸命に取り組む姿勢は近いものがあるのでしょうね。
藍井:そうですね。あと、バスケをやっていたからか、今でも背中と太ももの筋肉がしっかり付いてるんですよ。歌って、実は腹筋よりも背筋が大事で、そのあたりはあの頃真面目にバスケやっていて良かったなと思いますね。
■藍井エイルが『B.LEAGUE CHAMPIONSHIP GAME x GAME』を体験
──ここからは、『B.LEAGUE CHAMPIONSHIP GAME x GAME』について。まずは『アタック10』という試合にまつわる、全10問の選択式クイズに挑戦してもらいました。
藍井:純粋に楽しかったですね。やってみて思ったのは、クイズに登場する該当の選手やチームに関する情報(ポジションや身長、戦歴など)がゲームプレイ画面上でも表示されると、私のように追いかけられていない方やバスケ初心者の方にもわかりやすく、より気軽に楽しめるのかなと思いました。
──なるほど。では、バスケ経験者として「こういうクイズがあったら、もっと面白いんじゃないか?」という視点では、いかがでしょう?
藍井:個人的な考えなんですけど、私は得点を入れること自体が最も大事だと思っていなくて。得点を入れるためのパス、そのパスをした選手が素晴らしいっていう考え方なので、例えば「アシスト率の高い選手は誰か?」とか、ちょっと気になりますね。
──アシスト数の合計を当てるとか、この選手がどれだけアシストしました、とか。たしかにそういうクイズがあると面白そうですね。
藍井:バスケにおいてわりとそこが大事だと感じていて。やっぱり得点だけじゃない部分がバスケの面白さでもあると思うので、アシストに関しての問題があると、試合を観る際の視点が変わって面白いのかなと感じました。
一般的には得点を気にされる方が多いと思うんですけど、私は得点へ繋がるまでの過程であるパスがかなり重要かつ、バスケの醍醐味でもあるんじゃないかなって。
──パスが良くないと、シュートが決まらないというのはありますからね。
藍井:そうなんです! パスをカットされてしまえば、シュートを入れる以前の話になってしまいますからね。
──パスという部分にフォーカスをしてバスケを語るのは、なかなかの玄人だと思いました。
藍井:試合観戦中も「今の素晴らしい!」みたいなパスがコート上で出てくるのが、私は結構好きですね。「来るぞ、来るぞ、来るぞ、いつ来る」っていうボールをチームで回しているところにワクワクしながら、最後にナイスパスが入ってシュートを決めた時がいちばん盛り上がるので。
──その流れで次は『B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2021-22』の勝敗を予想する『B.LEAGUEダービー』にいきましょう。ここは今シーズンの年間チャンピオンを決める『日本生命 B.LEAGUE FINALS 2021-22』の勝者を考えてもらいました。
藍井:琉球ゴールデンキングスの勢いが良いと聞いたので、(チーム内の)テンションも結構良い意味で最高潮に高まっているんじゃないかなって。なので、ここは琉球が頂点に輝くのかなと思っています。
──彼らが優勝すると悲願のリーグ初制覇になります。
藍井:今シーズンの戦いぶりや、ここまで聞いた詳細な情報を総合的に見ると、(選手の)メンタル状態が良いんじゃないかなと感じます。
──「メンタル状態が良いんじゃないか」という言葉、非常に今の彼らに当てはまっているんじゃないかと僕も思います。
藍井:無双モードになると人は本当に強くなるので、そういう気持ちを込めて琉球ゴールデンキングスを選択しました。
──そして、最後のゲーム『My Starting 5』へと移ります。ゲームの内容は、上限7,000ポイントを持った状態で、自身が理想とするチームを作るべく、選手5名を選ぶというものです(※各選手ごとにポイントが付いており、所持している7,000ポイントをどう配分するかが決め手)。まずはチーム名を決めていくのですが…。
藍井:「ReraEir」にします、なんかカッコ良いですね(笑)。レバンガ北海道の前身のチーム名が「レラカムイ北海道」で、北海道で初めてできたプロバスケチームです。それをちょっと思い出しながら、自分の名前を入れて、ミックスしました。
──続いて、エイルさんが選択した選手5名をご紹介ください。
藍井:まずはポイントガードに日本を代表する司令塔の篠山竜青選手(川崎ブレイブサンダース)を選択しました。次のシューティングガードですが、『アタック10』の時にスタッフの方に紹介していただいた比江島慎選手(宇都宮ブレックス)ですね。東京オリンピックにも出場した、スーパースコアラーですので。
スモールフォワードは2,600ポイントと今シーズンすごい成績を上げているクリストファー・スミス選手(千葉ジェッツ)に。(スモールフォワード選択は)非常に難しかったですけど、成績を見たらすごすぎたので決断しましたね。
そして、自分がプレーしていたポジションでもあるパワーフォワードですが、ベテランで未だに進化を続けている竹内公輔選手(宇都宮ブレックス)です。最後のセンターですが、とにかく骨格が大きそうな選手を選ぼうと思っていて、ジョシュ・スコット選手(宇都宮ブレックス)に決めました。
──キャプテンをセンターのジョシュ・スコット選手にした理由は?
藍井:自分自身がプレーしていた時のチームはキャプテンがセンターの選手だったので。ただ、ポイントガードって司令塔というイメージがあるので、正直どちらにするか迷いましたねぇ。だけど、自分の過去の経験から最終的には決めました。
──改めてチームが完成しましたが、この5名を見てどんなチームだと感じていますか。
藍井:「ReraEir」は強そうな感じがします(笑)。今シーズン、しっかりプレーされていた素晴らしい選手ばかりを集めさせてもらったので。思ったよりもポイントが結構使えるっていうのが良いですね。絶妙な数字ですよ、7,000ポイントって。あとは結構選びたい選手を、好きに選べるんだなと感じました。
■ゲームをきっかけに、日本のバスケがもっと盛り上がるとうれしい
──『B.LEAGUE CHAMPIONSHIP GAME x GAME』の3種目を体験していただきたきましたが、率直な感想を教えてください。
藍井:どれも楽しかったです。特に『My Starting 5』は、選手の顔や情報がしっかり載っていたので、わかりやすかったのと、検討材料が多くて、良かったですね。
これがきっかけでバスケをいろんな方々に知ってもらえて、興味を抱く人が増えると本当にうれしいなって思います。バスケをプレーする方は多いですが、バスケを観戦する楽しさを日本でも、こういうゲームを通して伝わると良いですよね。一度だけNBAの試合を生で観戦させてもらったことがあるんですけど、すごい盛り上がりでした。日本がなかなかそういうふうにならないのも、当時何かちょっと悔しさも感じたんですよ。
こういった『B.LEAGUE CHAMPIONSHIP GAME x GAME』のようなサービスの始まりがスポーツをより盛り上げるひとつのきっかけとして力になるんじゃないかなと思います。
──せっかくですので、このゲームがもっと面白くなるためのアイデアがあればご提案いただきたいのですが。
藍井:欲を言えば…ゲームを遊んでいる際にブラウザ内で気持ちが高まるようなBGMが流れたりすると良いですね。
自分が普段プレーしているゲームとかでは、ずっとその場面場面に合わせたカッコ良い音楽が流れているんですよ。
音楽が流れている中で自分が予想したり、加えて効果音とかもあったりしたら興奮度がより増して、没入感が生まれるんじゃないでしょうか。
ゲーム情報
B.LEAGUE CHAMPIONSHIP GAME x GAME
制作・運営: 株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント
監修・協力: 公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ
『B.LEAGUE CHAMPIONSHIP GAME x GAME』OFFICIAL SIITE
https://bleaguegame-game.jp/
『B.LEAGUE CHAMPIONSHIP GAME x GAME』OFFICIAL Twitter
@BLGGamexGame
B.LEAGUE(Bリーグ)OFFICIAL SIITE
https://www.bleague.jp/
リリース情報
2022.08.17 ON SALE
SINGLE「HELLO HELLO HELLO」
プロフィール
アオイエイル/11月30日生まれ。北海道札幌市出身。AB型。2011年10月、シングル「MEMORIA」でメジャーデビュー。
藍井エイル OFFICIAL SITE
https://www.aoieir.com/
藍井エイル 10th Anniversary 「SAI」
https://www.aoieir.com/special/10th/