TEXT BY 森朋之
■楽曲の良さ、個々のプレイヤビリティの高さもアピール
シングル「結証」「たとえたとえ」「ずっとずっとずっと」「LITMUS」を含むニューアルバム『Actor』が大ヒット。3月から6月にかけて全国ホールツアー『Actor tour 2022』を開催中の緑黄色社会が『THE FIRST TAKE』に登場した。
2020年4月の第40回では「Shout Baby」を演奏。さらに昨年12月に公開された“SUPER BEAVER feat. 長屋晴子”による「東京」も大きな話題を集めるなど、『THE FIRST TAKE』においても数々の名演を繰り広げてきた4ピースバンド・緑黄色社会。
今回はアルバム『Actor』のリードトラック「キャラクター」を、長屋晴子(Vo)、穴見真吾(Ba)、peppe(Key)のトリオ編成で披露した。
出演に際し彼らは、「今回新しい緑黄色社会、新しい編成でチャレンジさせていただいて、メンバーそれぞれの音が本当に必要なことを私たち自身も感じました。私たちが楽しんでいる様子を通して、そんなメッセージも伝わればいいなと思います」とコメント。その言葉が示すとおり、“音楽を心から楽しむ”、そして、“新たな挑戦を続ける”という、このバンドの姿勢がしっかりと示されたパフォーマンスを見せた。
「聞こえるかい?」という長屋に対し、「Hey!」と笑顔で答える穴見とpeppe。そして「初めての私たちをお届けできたらと思います、楽しもうね!」という長屋の意気込みに呼応するかのように、peppe、穴見が軽く音を響かせ、演奏がスタート。
peppeのイントロに続き、“誰だってneed youだ”というフレーズが広がり、心地よい“ノリ”が伝わってくる。鳴っている音はベースとピアノだけ。ドラムやトラックなどは使っていないのだが、3人の音と声が絡み合うことで奔放なビートが生まれ、思わず身体を動かしたくなる。
演奏前こそ緊張感を滲ませていた長屋だが、曲が始まり、ふたりの音に包まれた瞬間に表情がやわらぎ、リラックスした雰囲気で言葉とメロディを紡ぎ出す。
「キャラクター」は、“様々な人が存在しているこの世界の中で、すべての人に役割があり、意味がある”というテーマを込めた楽曲。誰かのマネをしなくてもいいし、周りに合わせ過ぎなくてもいいし、“いつも自分でいなくちゃいけない”と固くならなくてもいい──そう、この歌には、リスナーの心と身体をほぐし、スッと力を抜いてくれるパワーがあるのだ。3人が笑顔を交わし、解放的なフレーズを散りばめながら披露した今回の「キャラクター」からは、この曲の本質をストレートに感じ取ることができた。
“自分が自分でいられなくなる”というフレーズではシリアスな空気を滲ませ、次のサビに向けて一気に熱量を上げていくなど、緩急を付けた“演出”も見どころのひとつ。最後の“この舞台に生まれてきた全てのことは/産み出された、ただそれだけで意味があるから”という歌詞がもたらす感動を含め、きわめてドラマチックなパフォーマンスだった。歌に寄り添うというより、しっかりと自分の音を出すことで、楽曲のメッセージ性を際立たせるpeppe、穴見の演奏にもぜひ注目してほしい。
色とりどりの楽曲を収めたアルバム『Actor』をひとつに束ねるとともに、“あなたはあなたでいい”という普遍的なテーマを響かせる「キャラクター」。今回の『THE FIRST TAKE』の出演によってリョクシャカは、楽曲の良さを改めて示すと同時に、メンバー個々のプレイヤビリティの高さもアピール。バンドとしての多彩な魅力が感じられる、充実のパフォーマンスだったと思う。
彼らは4月20日に新曲「陽はまた昇るから」(映画『クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝』主題歌)をリリース。現在開催中の全国ホールツアー、夏フェス出演に続き、9月16日(金)、17日(土)には初の日本武道館公演『緑黄色社会×日本武道館 “20122022”』も決定している。結成10周年のアニバーサリーイヤーを迎えた緑黄色社会はここから、さらなるスケールアップを果たすことになりそうだ。
リリース情報
2022.04.20 ON SALE
SINGLE「陽はまた昇るから」
YouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』
https://www.youtube.com/channel/UC9zY_E8mcAo_Oq772LEZq8Q
緑黄色社会 OFFICIAL SITE
https://www.ryokushaka.com