■「今後演技をするうえで宝田さんの言葉を思い出して前を向いていけたらいいな」(乃木坂46・岩本蓮加)
映画『世の中にたえて桜のなかりせば』の公開記念舞台挨拶が4月2日、東京・丸の内TOEIで行われた。
本作は、“桜の季節”と“終活”をテーマに、“終活アドバイザー”として「終活屋」で働く岩本蓮加(乃木坂46)演じる不登校の女子高生・咲と、エグゼクティブプロデューサーも務めた宝田明が演じる老紳士・敬三が様々な境遇の人々の終活の手助けをしていく姿を描いた心温まるヒューマンドラマ。
舞台挨拶にはW主演を務めた岩本蓮加と三宅伸行監督が登壇し、3月14日に肺炎のため急逝した宝田明との思い出話や、映画へ込められたメッセージなどを語った。
また撮影中に収録した宝田のインタビュー映像も上映。イベントの最後には、黙祷の時間を設け、本作の完成・公開に向け、並々ならぬ情熱を傾けた宝田明へキャスト、スタッフが哀悼の意を捧げた。
【イベントレポート】
MCから本作の主演、エグゼクティブプロデューサーを務めた宝田明の説明ののち、宝田とW主演を務めた岩本蓮加(乃木坂46)と三宅伸行監督が登壇。岩本の隣には宝田明の等身大パネルが設置された。
最初の挨拶で岩本は「お忙しいなかお越しいただきありがとうございます」、三宅監督は「たくさんの人に来ていただきありがとうございます。お客さんが入って初めて映画が完成したような気がします」と満席の客席に向かい感謝の気持ちを述べ、舞台挨拶がスタートした。
公開を迎えた感想を聞かれると、友人が公開初日に観に行ってくれたという岩本は「感想をたくさん聞くようになってから作品を届けられるようになっているんだな」と実感がわいたとコメント。また友人からは“考えさせられる映画だった、前を向いていこうと思える作品だった”という感想をもらったと言い、「伝えたいことが全部伝わっていてうれしいです」と、心境を明かした。
三宅監督は登壇する前に桜を見たと話し、「桜を見ていると宝田さんを思い出しました。この映画も皆さんの心に残るものになればいいなと思っています」と話した。
映画初出演となる岩本は「初めての映画で初めての主演で、プレッシャーや重みがあった」と言いつつも、「実際に現場に入ってみて、宝田さんはじめキャストの方々や三宅監督とたくさんお話しさせていただいて、リラックスできるようになったし、現場に行くことが楽しくなりました」と当時を振り返った。
また、プレッシャーを払拭するために何かしましたか? と聞かれると、岩本はセリフを自分のものにするために「毎日台本を繰り返し読んでいました」と明かした。
三宅監督は「岩本さんの撮影前に何度もリハーサルをできたことで、本番の撮影ではたくさんお話をしたうえで挑めたので良かったです」と振り返った。
3月10日に行われた完成披露舞台挨拶の際に、宝田から“大女優になる片鱗がある”という言葉をもらったことに対し、岩本は「自信につながっていますし、今後演技をするうえで宝田さんの言葉を思い出して前を向いていけたらいいな」とコメント。
自身の役については、最初は暗い子のイメージだったが台本を読み進めていくうちに実は明るくて元気な一面もあるんだと思い、咲(岩本)があまり暗くならず普通の女の子だとわかってもらえるように演じた、と役作りについても語った。それに対し、監督は岩本が「咲ちゃんのことを好きになれた」と言っていただけたことがうれしかったと語った。
続いて、各々が宝田からオファーがあったという話になると、監督は「お話をいただいたときはうれしかったけど、テーマ(老人と女子高生が出演、茨木のり子「さくら」の詩、在原業平の和歌)が決まっていて大変だった」と話すも、「宝田さんと脚本づくりをしているときが印象に残っています」と思い出を振り返った。
対して岩本は、オファーを受けた際に「そんな話本当にするの!?」と幸せだった半面、本当に驚いたとコメント。「初めて作品のオファーをいただいて出演できるというのは自分にとって宝物だし幸せだなと思います」とも話した。
宝田との撮影エピソードを聞かれると、岩本は「面白い方で、私が緊張しているときも何気ないひと言で緊張をほぐしてくれた」と言い、「アドリブをされている姿を見て私も頑張ろうと思った」と話した。
そして宝田自身の体験談が見られるシーンが印象的だと明かし、「そんなお話を聞けるのは貴重だと思いますので、皆さんも注目していただけたらうれしいです」と注目ポイントも紹介した。
また、ファンには普段のアイドルとしての姿と演技をしているときのギャップを楽しんでほしいと話し、「10代のうちにまた学生の役をやってみたい」と今後の女優像についても話した。
そして、完成披露舞台挨拶で宝田から「きれいになったね」と言われたという岩本は「宝田さんにお会いするのが楽しくて、安心しますし、撮影をするときも腕を組んだりといつも近くにいていただけた」と仲の良さが伺えるエピソードを明かし、監督は「肩をたたき、“今度、食事に行こう”と言ってくださりずっと心に残っています」と話した。
舞台挨拶終盤では撮影中に収録した1分弱の宝田のコメント動画を上映。そして、本作公開に向け、並々ならぬ情熱を傾けた宝田へ、哀悼の意を表し、黙祷をした。
そして最後の挨拶では、岩本は「宝田さんと映画のお話をするときは、映画に対しての熱をひしひしと感じるので宝田さんのプロデュースする作品に、宝田さんと一緒にW主演として出演させていただけたことは誇りに思いますし貴重な経験をさせていただけたと改めて感じました」と話し、「この作品を観て自分の人生と向き合うきっかけになれたらいいなと思いますし、桜を見るたびに毎年この作品を思い出していただけたらうれしいです」とコメント。
監督は「岩本さん演じる咲ちゃんの成長物語だと思っています。人生どんなところからでも人は前を向いて成長していけると思いますので、明日からの力になる作品になればいいなと思います」と語り、舞台挨拶は幕を閉じた。
映画情報
『世の中にたえて桜のなかりせば』
2022年公開
キャスト:岩本蓮加(乃木坂46)
土居志央梨 郭智博 名村辰 柊瑠美 伊東由美子
徳井優 吉行和子
宝田明
監督:三宅伸行
脚本:敦賀 零 三宅伸行
エグゼクティブプロデューサー:宝田 明
エンディング曲「蒼空」 Produced by 亀田誠治
歌:all at once 作詞:Ra-U , レオリ 作曲:Ra-U
(C)2021『世の中にたえて桜のなかりせば』製作委員会
『世の中にたえて桜のなかりせば』作品サイト
https://www.toei-video.co.jp/sakuramovie2022/
乃木坂46 OFFICIAL SITE
https://www.nogizaka46.com