■「劇場を後にするときに、お客さんがひとつ、得体のしれない温かさを持って帰ってもらえたらいいなと思います」(さくらしめじ・田中雅功)
田中雅功と高田彪我(「高」は、はしごだかが正式表記)からなるフォークデュオのさくらしめじが、4月1日に東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASUREにて、翌日に開催を控えたワンマンライブ『春じめじのお花し 二冊目』の公開ゲネプロを行った。
さくらしめじは昨年の4月4日に東京・中野サンプラザにて、バンドを従えた音楽ライブに演劇を取り入れたワンマンライブ『春しめじのお花し』を初めて開催した。小説家としても活動している雅功が脚本を手がけ、公園で見つけた“幸せな花を咲かせるきのこ”をめぐって大喧嘩を繰り広げながらも「本当の幸せとは何か?」を問いかけるファンタジックな音楽劇となっていた。
そして、1年ぶり2回目となる『春じめじのお花し 二冊目』では、元バンドマンであり、『100回泣くこと』や『トリガール!』で知られる小説家の中村航をアドバイザーに迎えたうえで、今回も雅功が脚本を執筆。前作以上に歌と演技のパートが密接につながった、リアリティのある青春ストーリーとなっている。
登場人物は、アパートでルームシェアをしている大学3年生の田中雅功と高田彪我のふたり。中学生時代に幼なじみ4人とバンドを組んでいたが、ドラムとベースがやめてしまい、ふたりだけで“さくらしめじ”として活動していた。
しかし、ファンは一向に増える気配がなく、ふたりはついに解散ライブを敢行する。それでも、いつか絶対に売れてやる! という夢を諦めきれない雅功と、現実を見て就職活動を始めようとする彪我。同じ部屋で暮らすふたりの若者の苦悩と葛藤、“さくらしめじ”への熱い想いが(溢れるなかで、ふたりできれいな花を咲かせるための新曲を制作する過程が)描かれる。
ゲネプロを終えた雅功は「ライブを観に来たお客さんに、演劇のある舞台が受け入れらるのかという不安はあるけど、やるしかないと思ってます」と少し緊張の面持ちを見せた一方、彪我は自信たっぷりの表情で「雅功が書き上げた素敵な台本で、2年連続で開催できることがすごくうれしいです。さくらしめじの完全オリジナルの舞台になりますので、しめじのおいしさを存分に味わっていただけたらなと思います」と意気込みを語った。
また、アドバイザーに中村航を迎えたことについて聞かれると、雅功は「中村さんの助言で脚本もセットもどんどん変わっていく楽しさもあったので、無駄にはしたくないですね」とコメント。
そして、最後に手応えを感じているという彪我が「ふたりとも二十歳になったので、大人の魅力をいっぱい出していけたらいいなと思います」と語り、雅功は「前回は、今、歌える楽しさを伝えたいと思っていたんですけど、今回は、まだ先の見えない未来や明日にみんながワクワクできるようなものを届けたいです。劇場を後にするときに、お客さんがひとつ、得体のしれない温かさを持って帰ってもらえたらいいなと思います」と呼びかけた。
さくらしめじワンマンライブ『春じめじのお花し 二冊目』は4月2日・3日に昼夜2公演ずつ開催される。さくらしめじのファンはもちろん、音楽をテーマにしたリアルな青春劇が好きな人の胸をも熱くする舞台となっているので興味のある方はぜひ劇場に足を運んでみよう。
なお、4月3日の第2部は生配信も行われ、4月10日23時59分までアーカイブ視聴が可能となっている。詳細はオフィシャルサイトで。
TEXT BY 永堀アツオ
PHOTO BY 鈴木友莉
公演情報
さくらしめじワンマンライブ「春しめじのお花し 二冊目」
04/02(土)東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASURE 14:00~ / 18:00~
04/03(日)東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASURE 13:00~ / 17:00~
さくらしめじ OFFICIAL SITE
https://sakurashimeji.com/